英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

子どものためのつもりで買ったBreadwinnerがあんまり印象的だったので、Afghanistanを舞台にした大人の本を読みたいと思い、この本を手に取りました。 











The Kite Runner The Kite Runner
Khaled Hosseini (2004/06/07)
Bloomsbury Publishing PLC

この商品の詳細を見る





主人公は使用人の息子と乳兄弟で、毎日一緒に遊びながら育ちます。


しかし、主人公が学校に行き、家の外の価値観がわかってくると、主人公は使用人の息子と友達であることを、恥ずかく感じ始め、同時に、彼の方が、運動神経でも、賢さでも、自分より勝ることを実感して、苛立ってきます。 


主人公の父は大金持ちのビジネスマンであるだけではなく、孤児院を私費で作るなど義侠心もあり、Afghanistanの首都Kabulの名士であり、愛妻が遺した一人息子である主人公に大きな期待を寄せています。しかし、本の虫で、弱虫な主人公は、父親の期待を裏切っているという思いが高じ、同時に父が使用人の息子をも可愛がるのを見るにつけ、彼が一層うっとうしくなります。


一方、使用人の息子は一途に主人公が友人であると信じ、同時に召使の息子であるという立場を痛々しいほどわきまえ、主人公に滅私でつくします。



やがて主人公は、使用人の息子が複数の”悪がき“にひどい目に合わされるのを見捨てます。 主人公は、”悪がき“に立ち向かえなかった自分の弱さが恥ずかしく、この事件を忘れたくて、使用人の息子にさらにひどい仕打ちをします。 主人公が12歳の時のこの出来事は、その後彼に大きな影響を与えますが、後半で、30歳代になった主人公は、この12歳の時の事件から引きずってきた自分の心の中の暗部を自分なりに清算するために、タリバン支配下のAfghanistanに向かいます。



この本の本質的なテーマは、あえて要約してしまえば、友情と裏切りとか、父と息子の葛藤など、何度も何度も語り続けられた普遍的な物語だと言えると思います。 誰にとっても、どこか自分の経験と重ね合わせられるし、共感をもって引き付けられる物語だと思います。 



でも私にとっては、やはりこの物語の舞台になったAfghanistanという国が印象的でした。 


以前読んだParvanaの物語は、Taliban支配下に育った少女の物語で、Afghanistanは荒廃しきって、文化の匂いが全くしません。それどころか、生活の匂いさえ殆ど感じさせないほど、爆弾と瓦礫、Talibanの恐怖に覆いつくされています。彼女の父は愛国心ゆえに、国を捨てていくことができなかった、その結果、個人の幸せは全く無視された社会で、家族全員が悲惨な生活にあえぎます。 


一方この本の主人公と父は、1980年早々、ロシアの支配下にあったAfghanistanからアメリカに移住して20年以上たっています。 前半に描かれる1970年代のAfghanistanは、貧富の差や民族差別などの問題はあったのでしょうが、平和で鮮やかな色に満ちています。伝統の凧祭り(とでも呼ぶのでしょうか、Kite Runnerたちの競技会です)のシーンはとりわけ印象的です。 Afghanistanの名士であった父は、アメリカでは厳しい生活を強いられますが、誇り高く暮らし、主人公もアメリカ人として平凡ながら、それなりに満ち足りた生活をしています。Afghanistanについて言えば、たぶん、国を離れた人々の方が、個人としては幸せな人生を送れたのだろうな、と感じます。



日本人の私には想像できない過酷な祖国をもった人々の、正義を求める叫びや、疲れきったあきらめの嘆きとか、そんな声が響いてくる本でした、私にとっては。


折りしも、クリスマス直前、女王がアフガニスタンとイラクの前線の軍隊に向け、特別メッセージを録音した、というニュースが、繰り返しテレビで放映されています。 その画像のアフガニスタンはいつものように褐色の荒廃した高原、迷彩服のイギリス・アメリカ兵、そして、銃撃戦です。でもその向こうに息を潜めて生き延びながら、平和がおとずれることを待ちわびる人々がいることを知ることができた一冊でした。



ところで、このAudio Bookは作者自身の朗読です。 彼はアメリカ在住で、本業はお医者さんで、この小説は第一作だそうですが、なかなか渋く押さえたいい朗読だと思いました。


アフガニスタンの人の名前、地名、伝統行事など、アフガニスタン語がたくさん出てくるのですが、私が字面から読む音と、彼の発音は、ずいぶん違いました。 そのアフガニスタン語のやわらかく篭った音に耳が慣れてくるにつれ、アフガニスタンの匂いが漂ってくるような気がしました。 


全部で11時間強、私は前半は年末の大掃除をしながら聞き、中盤は本で読み、後半は本を読んだあと、もう一度クリスマスディナーの下準備をしながら聞き直しました。


 

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corianderuk.blog80.fc2.com/tb.php/9-8df16312

名前:
メール:
件名:
本文:

Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。