英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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イギリスの小学生の20%が、読み書が十分できないままで小学校を卒業することに警鐘をならす、チャンネル4の特集 ”Lost for Words””Last Chance Kids”を見ました。


この番組は、「一年以内に全ての子どもを読み書きができるようにする」と果敢な目標を掲げた、ロンドン北東の小学校の実験を追ったドキュメンタリーです。英語を読む力を飛躍的に向上させる特別な方法を、全校一斉に導入・・・・さてその結果は?


 
Channel4HPより


私自身の英語のスペル力、単語力を上げる秘密の方法が見つかるかも、と下心をもって見ましたが、その期待は裏切られたものの、とても面白いドキュメンタリーでした。 1122日ごろまでは無料でインターネットで見られます。 (詳しくは最後に)


Monteagle Primary Schoolは全校の25%の生徒が読み書きが十分できない、ロンドン東部のLeague Tableでは下位の学校のひとつです。 Head Teacher (校長)Miss Thompson40歳ぐらいと若くエネルギッシュな女性で、「文字を読めないままに卒業する子どもを絶対出さない」、そのためには何でもする、と強い意志をもって2006年の9月の新学期より、実験的な英語の授業を導入します。 


 
Channel4HPよりMiss Thompson


The Synthetic Phonics Programmeがこの学校の導入した、英語を読む力を飛躍的に高めるプログラム。 イギリスの伝統的な方法ではCat Hat など単純な身近な言葉から少しづつ、単語ごとの読み方を教えていました。でもこの方法では、単語を文字に分解し、文字ごとの発音をまず覚えさせます。つまり、CATを「カッ」「アッ」「トゥ」と覚えるわけです。


 
Channel4HPより


Phonics自体は比較的よく知られた方法で、平凡そうだけど、ラディカルなのは、全校で徹底した進度別クラスに分けてPhonicsを教えたことです。毎日9時半から1時間、全校生徒が16進度別クラスに分かれ(高学年で読み書きが十分できる子は、別のプログラム)徹底的に繰り返しPhonicsを学びます。6年生でも読み書きがほとんどできない子は、一年生といっしょにBeginnerクラスで学びます。


ドキュメンタリーは、この一年間の実験で生徒たちが、飛躍的に英語を読む力を伸ばす過程を紹介するのですが、その間にはベテラン先生からの反発、ほとんど何も読めない生徒への試行錯誤など山あり谷あり。 一時間枠の番組でPart3までといささか長すぎるとは思ったけど、飽きませんでした。



Channel4HPより


この学校の成功の鍵は、2つあったと思いました。ひとつは徹底した進度別授業をしたこと。 Phonics自体は、単純な繰り返しの訓練なので、習得した子はどんどん進まないと退屈してしまう。 一方現実的に、文字と音を覚えるのがとても苦手な子もいて、その子たちには、繰り返し、時間をたっぷりかけて同じことを教えないと身につかない。番組でも6年生の数人の男子は、短い文章を読めるようになるために、一年間基礎を繰り返す必要がありました。


 
Channel4HPより・詩人Benjamin Zephaniahも学校を訪問


成功の鍵の2つ目は、校長先生とDupy (教頭)の「文字を読めないままに卒業する子を一人も出さない」と宣言する、意思の強さと、どんな障害にも辛抱強く取り組む粘り強さ。 Miss Thompsonはリーダーシップもあり、これだけのやる気があれば、どんなこともできるだろう、と思えるほどでした。


 イギリスは日本より数年早くSATと呼ばれる全国の小・中学生が全員一斉に受験するテストを導入、結果の平均点とレベル別到達度は、学校ごとに発表され、これをLeague Tableと呼びます。発表の時期には、新聞も「全国トップ100公立小学校・中学校」などの特集を組み、高い関心を集めます。政府の目標に達しない学校の校長には、改革を求める強いプレッシャーがかかります。このあたりのイギリス学校事情が、この実験を後押ししたことに間違いはないでしょう。


 
Channel4HPより



日本の小学校でも応用が利くか、と言えば、こんなにラディカルな進度別クラスは難しいだろうな、とは思いました。 イギリスでは進度別クラスは小学校からよく行われ、中学年ぐらいから、算数と英語ではSet1 Set2に分かれることはごく当たり前です。 それでも、1年から6年までを一斉に進度別クラスにすることには、この学校でも反発があったようです。



私の個人的な経験から言えば、イギリス人の多くは、人に得意・不得意な分野があることを積極的に認め、無理をしない、ことを大切に考えるように思います。 中学受験でも、あまり詰め込んで勉強をして合格すると、入学してからついていけなくて苦労するから、と受験勉強に否定的な親が多いように思います。 イギリスでは受験用家庭教師は一部でひっぱりだこのようですが、塾や、学校別過去問や偏差値システムは聞いたことがありません。(でも、Kumonの名前はよく聞くようになったので、イギリスも変わりつつあるのかもしれませんが。)


 


Phonicsという方法自体についていえば、私はぜひ日本の中学でも教えてほしいと思っています。 我が家の2人の子ども、4~5歳のころ、ずいぶん繰り返しPhonicsを覚えさせられ、そのシステマティックなやり方に、なるほどこうやってスペルを覚えるのか、と感心しました。 



英語を母国語としてぺらぺらしゃべるイギリスの子でも、20%は、Phonicsの助けでようやく読めるようになるのです。 外国語として英語を学ぶ日本の中学生たちが、英語の読みとスペルで苦労するのも当たりまえだし、フォニックスのようなわかりやすい方法を導入する工夫はぜひしてほしいな、と思うからです。 



すっかり長い記事になってしまいました。読んでくださってありがとうございました。


この番組は放映後30日(1128日まで)無料で見られます。Channel4のHPから左上の4oDをクリック、専用のソフトをダウンロードして、Schedule1028日、午後8時にあります。


 


 


 

コメント

The Synthetic Phonics Programmeの話、とても興味深く読まさせていただきました。徹底的に繰り返すという方法ももちろんですが、それを進度別のクラスに分けて行うことにもとても関心を持ちました。Dillさんのおっしゃる通り、イギリスには人にはみな得意・不得意の分野があることを積極的に認めるという価値観があるのかもしれませんね。日本は格差に敏感になりすぎて、小学校の運動会で全員一緒にゴールさせるくらいですものね。そこには勉強(読み書き、計算、何でもそうですが)や運動が不得意な子はダメな子という隠れた価値観があるように感じます。そうはいっても、国ごとにこうだと決め付ける話なのじゃなく、たぶん各々の親御さんや学校によって異なってくるのかもしれませんが…。それにしても、このような番組を三回に分けてじっくり放送するテレビ局もやるな、と思ってしまいます、(^^)

nikoさん、
そうですよね、人がひとりひとり違うこと、を積極的に認めようとする文化がイギリスにはあると思います。 ただ、この国は、人まねを嫌い、背伸びすることをかっこ悪く感じる価値観があり、だから階級社会のような文化がかなり色濃く残るような気もします。20%も読み書きが満足にできない子がいる、というのも、親も子も、これでいいや、と諦めてしまいやすい、というのが背景にあるような感じで、それはそれで難しい問題ですよね。 
アメリカの価値観はきっとイギリスとはかなり違うのでしょうね。 

「The Puffin Book of Fantastic First Poems(CD)」を買おうかな、どんな本かなと検索していて見つけました(ファージョンの詩があると知りうれしいです)。HPから番組の一部を見ることができました。興味深い作品のご紹介ありがとうございます。

浜島様
はじめまして、こんにちは。
Puffinの詩集、断然お勧めします。 選ばれている詩はやさしいものばかりですが、心に残るものが多いです。 CDの方は、演出が過剰ではなく、すっきりとして聞きやすいです。 図書館で随分たくさんの子どもの詩集を借りたりしましたが、まだこれ以上にお気に入りという本には出会っていません。
ファージョンの猫の詩は、かわいいですよねぇ。本当に。 彼女の詩集がお好きなのですか?
Puffinの詩集、購入されたらぜひぜひどれが気に入られたか、感想も聞かせてくださいな。 
個人で楽しまれるために英語の詩に興味があるのかしら、それとも英語を教えたりされているのですか?
うれしくて、ついついいろいろと伺いたくなってしまいました。 これからも末永く、どうぞよろしくお願いしますね。 

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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