英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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Miss Potterから見えるビクトリア時代 その1


BeatrixNormanの間で、ほほえましい恋が育ちつつあるその場、その場で、怪しからぬことだ、と言いたそうな顔で2人にいつも付き添っているのが、Miss Wigginsです。 重要な役ではないけど、どうしても目に付くし、映画ではちょっととぼけ役、いったいどういう立場の人なのか、不思議でした。



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2人の間にちょっと見えている、黒い帽子の女性がMiss Wigginsです!

Miss PotterDVDの付録の“Making” では、Miss WigginsChaperonと呼ばれています。イギリスでは、ビクトリア時代のダンスパーティーなどで、未婚の女性には必ず親や親戚の大人(主に既婚の女性)が付き添い、この役をChaperonと呼んだそうです。


 30歳代後半でとっくに大人のBeatrixだけど、良家の子女にふさわしい“Official Reputation”を守るためには、Miss Wigginsの付き添いが必要なのです。彼女が、Beatrixが若い男性に近づきすぎたりしないように見張り役なのはわかるのですが、親戚なのか、使用人なのか、はっきりしません。
着ている服もそれなりに上等そうで威厳のある立ち振る舞いだし、映画ではクリスマスのディナーでもお客様といっしょにテーブルについているし、かなり格の高い扱いで、他の使用人とは明らかに違います。 でも、Warne家についていった時は、お茶の席には招かれず、使用人のための部屋に通された(Miss Potterの原作より)ので家族と同じ扱いでもありません。Miss Wigginsに対する、Mrs Potterの扱い方も、蹴っ飛ばすぐらいだから、かなり失礼です。


こうしてみると、彼女はきっと、Mrs Potterの付添い人として雇われた、住み込みの高級使用人なのだろうと思います。


上・中流家庭の女性が独立して仕事につくことがほとんどなかったビクトリア時代、財産のない未婚女性が生活のためにつけた職業は、住み込み家庭教師(Governess)か、付添い人ぐらいだったとか。 どちらも、住み込みの高級使用人で、家族でもなければ、使用人とも言い切れない、微妙で孤独な立場におかれ、雇い主に恵まれれば幸せながら、(Miss Potterよりちょうど50年前に舞台設定されたJane Eyreのように、当主と恋に落ちるという夢もなくはなかったけど・・)、往々にして自尊心を傷つけられる、苦い生活だったようです。


イギリスの付添い人といえば、ビクトリア時代後の傑作ミステリーで恐さ抜群、心理描写のうまい「レベッカ」の女主人公が、年配の女性に雇われた、うら若き付添い人です。教育はあっても財産のない、両親を亡くした女性で、生活のために、わがままでなんともやりきれない性格のお金持ちの老婦人の付き添い人となり、南フランス旅行中にイギリスの名家の当主に見初められるところから物語が始まります。
彼女が、深夜まで続くカード遊びにつきあわされ、意地悪で皮肉たっぷりの言葉をかけられることに疲れ、さらに客として豪華ホテルに泊まりながら、付添い人だからと従業員からじゃけんに扱われ、みじめで沈んだ気分になっていくのがよくわかります。


Miss Wigginsも、ある程度の家庭(遠い親戚とか知り合いとか?)でお嬢さんとして育ち、結婚する機会に出会わなかった女性だったのでしょう。年配になって、悠々自適には暮らせない経済状態で、Potter家の雇われ人になったものの、とりわけ幸せそうにも見えません。 目の前でそっと育っているMiss Potterの恋も、自分の娘時代と重ね合わせて、複雑な気持ちで見ていたのかもしれません。邪魔者だけど、お酒好きのくせにお酒に弱く、とぼけた味もあり、ちょっと憎めない役どころでもあります。

コメント

Chaperonという言葉を最初に知ったのは、E.MフォースターのA Room with View でした。Lucyの叔母か従姉にあたる女性がLucyのChaperonだったように覚えています。だから、この場合はかなり立場としては上だったかも。Rebeccaを今年になって読みましたが、彼女の場合は本当に気の毒な立場でしたね。上流階級で読まれている雑誌に、Companionの募集の広告が出ているというのも、興味深かったです。

ヴィクトリア時代の本を幾つか読んでいくと、少しずつ、その当時の人々の生活が、見えてくるのが面白かったりしますね。とくに上流階級の人々の暮らしは、興味深いです。

michiさん、
そう、ビクトリア時代の本って、読んでるいると段々知識が溜まり、謎解きのように、そうだったんだ、ということがあって面白いですよね。 今年のクリスマスはDickinsにでも挑戦してみようかなぁ。
このMiss Wiggins、映画を見た時から気になっていたのだけど、どうもお話しを楽しくするために付け足した創作のようです。 今ちょっとだけBeatrixの日記(暗号化されていたのです)を読んでいるけど、外出する時にMiss Wigginsと出かけたという記述はまったくありません!まったく、もう。
私もレベッカとても印象的です。 ヒッチコックの映画恐かったですよね。あの舞台がCornwellだったことに、この夏Cornwellに行ってきづきました。

シャペロンという言葉は、映画「ニューヨークの恋人」で知りました。先日「ミス・ポター」を見たのですが、あの老婦人がシャペロンだったのですね!
私はずっとお友達なのかと思っていました....。

Emiさん、
はじめまして。
そうですね、Miss Wigginsってちょっと不思議な人ですよね。何考えているんですか?って聞いたらユーのある返事がかえってきそうな気もしもします。Emiさんのブログで赤毛のアンを思い出したのですが、Miss Wigginsって私の中のマリラとイメージが似てます(笑)
これからもよろしくお願いしますね。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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