英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

by Richard Adams


4月から5月の新緑の季節になると、きまって読みたくなる本で、何度読んでも引き込まれる面白さです。



野うさぎのHazelは、不思議な予知能力のある弟のFiver と、数匹の仲間といっしょに、住みなれた巣から逃げ出しました。とてつもなく恐ろしいことが迫っているという弟の予言を長うさぎに伝えたものの、取り合ってもらえなかったからです。
自分達が住む新しい土地をさがすために、敵がどこから襲い掛かってくるわからない未知の土地を進んでいきます。 川を越え、人間の農場をすりぬけ、夜になっても落ち着いて休む穴もない苦しい旅に、村から逃げ出さなければよかったと、泣き言を言い出す仲間も出てきます。 
その苦しい時に、不思議に親切な野うさぎに出会い、彼らの巣に誘われます。 そこは、素晴らしく広く住み心地のいい巣穴に、体格のいい、でも悲しげなうさぎたちが住んでいます。 他所から来た野うさぎへの警戒心や闘争心がないのか、すぐにHazelたちを仲間に入れ、とっておきのごちそうのやわらかに葉っぱまで食べないかと誘われます。思いがけない幸運を喜ぶHazelたちですが、Fiverはここに留まってはいけないと言い張ります。
Hazelたち、野うさぎが、自分たちが幸せに暮らせる土地をめざして、危険な旅をし、新しい土地に巣穴を堀り、仲間を増やして、うさぎの村を作っていく物語です。


今年は、4月上旬のイースター休みに、私は日本語で、息子は英語で、と同じ時期に読み、私はその後ぱらぱらと、気に入った章を英語で読み返しました。


野うさぎが言葉を交わし、詩をうたうのですから、ファンタジーの物語なのですが、野生のうさぎの逞しさと敏捷性にあふれた物語で、うさぎにはきっとこんな世界があるに違いない、という気がしてきます。 洋服を着て、私たちと同じ生活をするPeter Rabbitとは全く違ううさぎたちの世界です。


目で見る以上に、匂いと風、そしてひげに触れる感覚に頼って自然の中に暮らす野うさぎを通して、私たちも舞台となるHampshire の田舎の草いきれや、巣穴の中の湿った匂いを感じます。野うさぎと同じように、地面からほんの数十センチの低さで立ち止まり、目の前の野生の草をかじり、その向こうに広がる草っぱらや、どっしりした大木、さらに遠く大きな空を、はるかに見上げているような気がします。イギリスの田舎のごくありふれた美しさを、うさぎの目を通して、のびのびと描いています。


うさぎの言葉、うさぎの暮らしのしきたり、うさぎの神様と神話。早朝と日暮れ時、巣穴から出て、外の風にあたりながら草を食べる、シルフレイの楽しみ。 夜に奇怪なまぶしい光を発しながら乾いた道を疾走する「フルドド」とうさぎたちがよぶ不気味なものは、自動車。 うさぎが数えられるのは4までで、5以上あれば「1000ぐらいたくさん」。
息子が取り分け気に入ったのは、野うさぎたちが、大空を飛ぶ渡り鳥と築く、面白い友人関係。
物語の中の野うさぎの生活は、1970年代の詳細な野うさぎの生態研究をもとに書かれたそうですが、どこまでが自然に観察できる事実で、どこまでが作者の創造かわからないけれど、いかにもありそうな現実味があって、野うさぎの世界を実際にのぞいているような気がします。


そして、登場うさぎたちが個性豊かで、印象的。 この物語を読み終わったあと息子としばし話し込んだのが、「野うさぎのうち誰が一番好き? 友達のだれがどのうさぎに似ている?」という性格比べでした。
知性派で洞察力と素早い判断力をもつグループのリーダーのHazelは私たち2人ともとても気に入っているけれど、息子は賢くて思わぬアイディアをひねり出すBlackberryが好きで、私は力強くて友情に厚いBigwigが好き。


登場するうさぎたちの名前はイギリスのどこでも見かける植物の名前でこれも楽しい。たとえば・・・・
Hazel - 日本でおなじみのヘーゼルナッツの樹で、日本語の名前はハシバミ。 この実はCob Nutと呼ばれ、生のままの木の実はイギリスの秋の風物詩です。
Dandelion - タンポポ
Blackberry - 黒い果実がおいしい野生の潅木、棘があってさわると痛い
Buckthorn - 黒い実がなるクロウメモドキ
Speedwell - 青い小花が咲く草、おおいぬのふぐりの仲間
Acorn - どんぐり。これが成るオークの樹はナショナル・トラストのシンボル。
Strawberry - 多分、商品化された苺ではなくて、小さくて酸味の強いWild Strawberry
Thistle - これもよくみかける野アザミ。Poohの仲間Eeyoreの好物
Cowslip - つりがねのような形をした黄色い花のつく野草
Silverweed - 黄色いバターカップに似た花の咲く草
Snowdrop - 雪のしずくのような白い花。春先にまず最初に咲くので、みんながこの花を見ると春がもうすぐだね、と言い合う。


Hazel.gifbackthorn.gif





blackberry.gifStrowberry.gif



Thisle.gifCowslip.gif









HazelBuckthornBlackberryStrawberryThistleCowslipSilverweedSnowdrop (全てWikipediaより)


この物語をきっかけに覚えた野草の名前も多くて、読みながら、うさぎの性格が野草の性質と重なって感じてきます。


1972年にこの物語が登場した時は一大センセーションをまきおこすほど話題になり、物語に登場するうさぎの国の統治のされかたや、うさぎの神話を深読みして、政治的な寓話だととらえる人も多かったそうです。 けれども、私にとっては、この本は、野草が生える草っぱらの自然を存分に味わう、おもしろくてたまらない本です。この舞台になったWatership Downは、こんな高台だそうです。この丘をめざしていく野うさぎののイメージがわいてきます。


Watershipdown.gif




http://faculty.quinnipiac.edu/libraries/tballard/literary.htm


Literary Piligrame by Terry Ballerd より



私は、この本が子ども向けの本にしては読みにくい英語だと感じます。それは私のもっている本の活字が小さめのせいなのか、植物など知らない単語がどんどん出てくるためなのか、あるいは彼の文体なのか、500ページ近い厚さのせいなのか、よくわかりません。でも英語の敷居が高いからと読まないのはもったいないほど面白い本です。神宮 輝夫さんの日本語訳もとても優れているので、まず日本語で読んでから、好きな部分だけ英語で読んでも十分楽しいと思います。私はそうやってこの本を楽しんでいます。



コメント

懐かしいです

はじめまして。オーストラリアに住んでます、Johnnycakeと申します。まわりに新しい日本語の本がなくなって久しく、同じく英語で本を読んでます。Watership Downは、まだ日本にいる頃に読んだ数少ない洋書の一つでした。数年前に読み返してみて、改めてすごい話だな、と思いました。娘たちにも読んでもらいたいと思って勧めてみたんですが、まだそういう気にはならないようです。映画は一緒に見たんですが、「子供向け」と言っていいものか…。確かに児童書の棚に並んでいるんですが。
それにしても、イギリスの田園風景、本当に緑豊かですね。

Johnnycakeさん、
はじめまして。 
オーストラリアにお住まいということは、今は秋なのですね。 イギリスは輝く夏、沈み込む冬(ちょっと極端ですが)という差がはっきりして、初めての冬はあまりにじめじめ暗くて寒くて、冬眠する動物の気持ちがわかる!と思ったものでした。ですから、夏がくるぞくるぞ、と予感を感じる今は、全てが輝いて見える季節です。
私もJohnycakeさんと同じで、この本をいつか子どもに読んで欲しいと思っていました。娘はあまり興味がないらしいですが、息子がとても気に入って、今までに読んだ中で一番の本、とまで言ってくれて、嬉しがってます(親ばかですね。苦笑)
私達もイースターにテレビで放映していたアニメの映画を家族で見ました。 登場うさぎの性格はそれぞれすごくちがうけど、アニメではなかなかうさぎの違いを外見で表すのは難しいね、とみんなで言いあいました。 
Johnycakeさんはどんな本を読んでいらっしゃるのでしょうか?今度また聞かせてくださいね。

なつかしいです♪

Dillさん、おはようございます(*^_^*)
このお話し、高校生の時に一生懸命読みました♪ウサギ目線で語られるHazelの自伝にドキドキしながら(笑)
原書の装丁、青い空に引き込まれそうでとっても 素敵ですね♪
あのころはウサギの賢さと冒険に焦点がありましたが、今読み直すとまた違ったものを感じられそうです。
私が読んだときと装丁が変わったみたい?
もう一度、日本語で読みたくなってきました(*^_^*)

先日のJWの自伝、リクエストしておこうと思います♪Lizzieは100万語の記念に読もうと大切に(*^_^*)
楽しみのあるアドバイスを有り難うございました♪

びっちゃんさん、
ほんとうにこのお話ししは、ハラハラドキドキ、楽しいですよね。 確かにうさぎの目線というのが、新鮮で、見慣れているこの世界が、まったく違うように感じられて、不思議でした・・・
私も古い装丁の本で読んでいるのですが、もうアマゾンにはのっていないようなので、こちらの新しい表紙のイラストをお借りしました。
ところで、もうすぐ100万語なんですね!楽しみですね。 今からぴっちゃんさんの100万語達成とJWの感想を楽しみに待っています。
私もJWの自伝を読んだあと、2冊ほどJWの本を本箱から引っ張り出してきて、読んでみようと思っているところです。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corianderuk.blog80.fc2.com/tb.php/44-f58fe84c

名前:
メール:
件名:
本文:

Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。