英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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by Jane Austen



200年も昔に書かれながら、今なお原文で広く読まれ、イギリス人の好きな本の調査ではいつも首位を争う作品です。ぜひ読んでみたいと思っていました。


Hertfordshireの田舎に住むBennet一家には5人の未婚の娘がいます。 Mrs Bennetは娘達にいい結婚相手を見つけたいと熱望していたちょうどその時、裕福な独身男性、Mr Bingleyが近所に住むことになり、最適な候補が現れたことに、興奮気味です。


5人姉妹の長女で美しくはにかみやのJaneと、次女で美しさと賢さを兼ね備えたElizabethは、そんな母をちょっと醒めた目で見ていましたが、舞踏会でMr Bingley に会ったJaneはお互いに強く惹かれあって恋に落ちます。 一方、ElizabethMr. Bingley の友人で、ひときわ金持ちのMr.Darcyに出会いますが、彼のいかにも生まれを鼻にかけたようなそぶりに、強い反感をもちます。


 面白い、と聞いていた通り、面白かったです。 読んでいる間には感じなかったものの、今振り返ると、最後にはみんなが幸せになるだろうという安心感と、落ち着くべきところに落ち着くまでの山あり谷ありの展開の面白さがうまく融けあって、読者を楽しませてくれる本だったな、と思います。
この本のタイトルの通り、主人公たちが、PridePrejudiceを乗り越えてお互いの真実の姿を理解するまでの話しですが、正直なところ、このPridePrejudiceという感覚が、私には深く訴えかけてはこなかったです。 むしろ、女性と男性との出会いの不思議さ、結婚が生みだす、家族関係や人生に与える力の大きさに、改めてうなってしまいました。 


200年前のこの時代、たいした財産のない家に育った女性にとって、結婚は人生の最大の分岐点です。長年修練する教養や絵や音楽の素養も、美しい衣装で飾ることも、ダンスをエレガントに踊ることも、そして人間関係のあやにまつわる知恵も、すべてこの分岐点をうまく乗り切るために使われ、まわりの関心もそこに集中します。 この娘時代の華やかさを楽しむ女性も多かったでしょうが、しり込みして居心地の悪い思いをしていた女性もいたでしょう。 この物語では、それぞれが、それぞれにふさわしい相手と出会い、選んでいきます。


そして、主人公のElizabethも彼女の知性にふさわしい相手に出会い、幸せをつかむのですが、これは、物語を書いたJane Austenと読者の女性たちの、夢の実現ではあるけれど、きっと現実ではとても難しいことだったのだろうと思うのです。


この時代の女性は、財産という、本人にはほとんど変えることのできない要素が、生まれた時からその人生をかなり規定していました。(男性の場合は、自分で軍隊や法曹界で働いて運命を切り開くという選択肢がありましたが、女性には結婚以外の選択肢はほとんどありませんでした。) たとえば、Bennet一家の姉妹と母の財政的危機感は、母の単純で過剰な反応で笑いを誘っていますが、深刻な問題です。 父親が死んだら、家と財産は従兄弟のMr Collinsが相続し、娘と母はほんのちょっぴりの財産をわけてもらうだけです。 娘が未婚だったら、家もなく、十分な金もなく、男性の庇護者もなく、母といっしょにどう生活していくのか、お先真っ暗です。 


予備知識なしにこの本を読み始めた私は、人物評価に、あからさまな財産や収入額がひんぱんに出てくることに違和感をもって読んでいました。 でも、物語の途中でこの「あんちょこ」を図書館で借りて、Money in Pride and Prejudiceというノートを読んで、かなり頭がはっきりしました。



このノートでは物語の財産額を今のドルに換算するという大胆な研究を引用していますが、その現在のドル価値を100円と換算するという、さらにむちゃくちゃな計算をしてみると、この登場人物の一年の収入は、こんなイメージになります。


 
  Mr Bennet (5人姉妹の父)   
年収1600万円
  Mr Darcy            
年収8000万円
  Mr Bingley                                   年収4-
5000万円
  Elizabethが父の死後もらう財産   年収40万円


年収(利子や地代?)にこれだけの差があるのですから、この年収を生み出す不動産などの財産の大きさの違いは、さらに膨大なものだろうと想像できます。 生活のために働くのを潔よしとしなかった紳士階級の家庭と思われますので、この財力の差が生涯に渡って変わる可能性は小さいと思うと、財産が大事なことがいっそうはっきりします。それにしても、年収40万円で家まで失う娘の経済的な不安定感は、残酷なほどです。 


その重苦しい環境の中で、Elizabethのように、優れた知性さえあれば(容姿も美しいと書いてありますが、彼女の魅力はひときわ輝く知性だと思います)、財産のしがらみを破って、知性と財力に恵まれた男性と結ばれる、というのが、若い女性にとって、どれほど魅力的な夢であったか、わかるような気がします。


よく知られるとおり、Jane Austenは一生独身を通し、後半生はやはり独身だった姉と、兄の(義姉の?)所有するこじんまりした家で、なかば隠遁生活とも見える生活をし、41歳の若さで亡くなりました。この小説は、まだ結婚に夢見がちであったであろうごく若い時代から書き始められ、30歳代後半に入って出版されます。Jane Austenが、何を考えながらこの小説を書き、推敲を重ねていったか、読者の想像を駆り立てるのもうなずけます。 


ところで、この物語の英語は、なかなかすんなり理解できず、苦労しました。単語の難しさというより、もってまわった言い回しで、「だから、何を言いたいの?」と思うこともしばしば。でもこの小説が出版されたのが1813年、日本では南総里見八犬伝やら四谷怪談が書かれた頃、とわかると、そりゃ、難しいはずだよな、と納得がいきました。後半は、あまり細かいことにはこだわらず、ストーリーの流れや人の心の動きを楽しみました。


今回は、背景となった時代の女性の立場に、びっくりしすぎたので、この物語の主題である、第一印象の誤解が解けていくという流れへの反応が鈍くなってしまいました。 もう一度、こんどはJane Austenが伝えたかったメッセージや、細かい表現を楽しみながら、ゆっくりと読んでみたいと思います。

コメント

こんにちは。

Dill さんのおっしゃる通り、題名の「Pride and Prejudice」というのはストーリーにはあまり関係ないかもしれませんね。(自分はブログでこだわりましたが…)

17・18世紀というのは、日本の江戸時代もそうですが、自分の人生を変えることができないのではなく、変えようとも思わなかったのが現実だったような気がします。男は親の跡を継ぎ、女性は身分相応の人と結婚する。それがみんなの常識。

もちろん、知性が豊かで財力がある男性(美男ならなお良し)との結婚、というのは、いつの世も変わらぬ女性の夢、なのでしょうけどね。
自分が女性だったら、絶対そう。現実は、ともかく。

まさんたさん、
この物語を読みすすめながら、まさんたさんのブログの記事を何度か思い出しました。 あっ、このシーンの翻訳についてこんなことが書いてあったな、とか、物語を理解するのにとても役立ちました。 ありがとうございました。
今回初めてこのストーリーに触れた私は、物語の起伏の面白さと、時代背景にまずひきつけられましたが、タイトルにあるPride and Prejudiceというテーマは、やはり、Jane Austenが一番言いたかったことだろうな、とは思います。彼女にとっては、この時代の女性の地位の難しさはGivenのことで、その制約された環境の中で、どう生きるか、というのが彼女の人生のテーマだったのでしょうね。 あの時代は男女の出会いの機会はとても限られていて、その分なお、第一印象が際立って大切だっただろうと思います。 この物語では、幸運が重なって、2人のお互いの理解が深まる機会があるけれど、多くの出会いでは、第一印象で心をつかめなければ、次の機会はないのかもしれません。
ところで、まさんたさんがおっしゃるとおり、この時代の多くの人にとっては、与えられた環境を変えるなんて、思いもよらなかったのでしょうね。 私も、この物語を読みながら、たとえば藤沢周平の時代小説の主人公の武士たちの、しがらみの中での清冽な生き方を思い出しました。
でも、これほど人生の視界が開けている現在でもなお、自分の力では変えようのない要素に人生を左右されることが多いから、この物語が変わらぬ人気をもっているのかもしれませんね。 

Dillさん、この本、読了されたのですね。ね、面白かったでしょ。でもDillさんの感想をよんで、うーんと考えさせられました。この本、本当に大勢の女性たちを励ましてきたことと思うのですが、書いたジェーン・オースティンとその時代の女性たちにとっては、ほとんど夢物語だったのかもしれませんね。なかなか、その女性の真の魅力と個性に気付いてくれる男性が現れず、肩身の狭い思いをして生きたのかもしれません。

現代の女性は、もっといろんな選択肢が与えられているし、生まれた家庭がこの時代ほど重要視されているわけでもないし、自分で運命を切り開いていくチャンスはあるし、結婚がすべてでもない・・・恵まれているとは分かっているけれども、ついつい欲張ってしまうんですよね(笑)。

ほわぁ~

Dillさん、こんばんは。
先日はブログへコメントありがとうございました♪ 
この本、最近読みたい熱が上がって来てるので、とても興味深く記事を読ませていただきました。
それぞれの人物の年収など、これを知ってから読むとさらに人物描写が活きてきそうです。年収40万で住むところもないなんて…。本当にこの時代の女性の立場って、吹けば飛んでしまうような危ういものだったのですね。結婚せずとも自分の力で自由に生きていける時代と身分をありがたく思わなくっちゃ(笑)。
近いうちに挑戦してみたいと思います。

michiさん、
ええ、とても面白かったです!
最初は、この英語のスタイルに慣れなくて、悪戦苦闘だったのですが、途中から、細かいところはわからなくてもいいや、とあきらめたので、すいすい進みました(笑)。
自分の感想を読み直してみると、もうちょっと素直に作者の心に寄り添って読んでもよかったのにな、と思います。でも、娘が5人もいるのに、財産が従兄弟にいっちゃう、という不条理にびっくりしたので、どうもそのあたりに関心が集中してしまいました(笑)

ちゃかさん、
本当に、私たちの時代で幸せだったな、あの時代だったら息がつまっただろうな、と思いながら読みました。 私なんか舞踏会に行って、お婿さんハントをしなくちゃいけないと思ったら、楽しめないだろうと思います。第一印象にも自信ないし!
ところで、ちゃかさんもお風呂で本をよまれるのですね・・・私もです。ただし、いつも濡らしてしまうので、日本語の文庫本だけを、お風呂で読むことにしてます。 英語の本は、なんだか集中できなくて、お風呂には持ち込んでいないです(笑)
そうそう、娘にSheltieのことをコメントしたよ、と言ったら、中学年よりもっと小さい子向けの本だよ、と言っていました。本箱の隅っこにあったSheltieを見たら、確かにやさしくて、大きい字でした。ちゃかさんのよんでいらっしゃる本に比べると簡単すぎるかな、と思いました。 ちょっと気になったので・・・

P&P

おはようございます。

さっき空メッセージを送ってしまったかもしれません。
ごめんなさい!

Dillさんの感想や、他の方の感想に、うんうん、納得^^
私も、やっぱり「偏見」や「高慢さ」がLizzyとDarcyだけじゃなくて、登場人物達の世界観に影響しているところに、Austenの鋭さが見えると思います。

あと、現代の女性も男性もたくさんこのお話から「結婚」に関して学べるところはあると思います。
「結婚」に何を見出すのか。それとも、「結婚相手」に何を見出すのか。それとも、「結婚相手」を子孫生産・家柄のためだけでなく、一人の人間として尊重するところから始めるのか…、など。

現代では、選択肢がたくさんありすぎるし、物質的に豊かなので、上を見ればきりがありません。そのせいで、「結婚相手」や「結婚」そのものに「他人よりいいもの」を求めがちな人は多いと思います。
でも、現代の日本では、まだまだ女性の選択肢は限られているというのが私の意見です。
「女性らしさ」「母性本能」「いい母親」「結婚適齢期」「晩婚」などの既成の社会通念がまだまだ女性の自由を制限してしまっていると思います。
だから、Lizzyのように自分が何を求めるのか、しっかりとした信念を持っていないといけないのは、今も昔もあまり変わってないと思います。

「結婚したい~!」ってむやみに言う人、「妻・夫にはこんな人がいい」という理想ばかり追い求める人、この本から色々学べるんじゃないかな?

Dillさんは他にもAustenは読まれるつもりですか?
(…よけいなお世話ですが、私はPersuasionもいいんじゃないかと…)

Kさん、
Jane Austenの世界は、ゆっくりと、でももっと楽しみたい気がしています。昨日はテレビでEmmaをやっていたのですが、う~ん、配役のイメージがあんまりぴったりしなくて、やめてしまいました。 今のところは、もう一回、ゆっくりP&Pを読み直して、おすすめ頂いた、BBCの映像も見てみたいです。(何のイメージもない白紙の気持ちで読んでみようかな、と思い、映画はあとの楽しみに取っておきました)。 洋服や家や、風景の具体的なイメージがはっきりしたら、もっと深く彼女の世界が楽しめそうな気がします。
その次は、Persuasionがお勧めなんですね。読んでみたいです。あ、でもMr Darcyの日記も魅力的で、読みたいです! 
またいろいろ教えてくださいね。
 

読みました!

私もついに読みました!
Dillさんが年収について書かれていたのを覚えていて、またこの記事を探して読ませていただきました。ふむふむ、こうして現実的な数字に直すと実感も湧きますね~。娘たちの将来を案じるお母さんの気持ちも分かるような気がします。

現代の私にとってもエリザベスのしっかり自分の信念を持った言動や行動が爽快!と思えるくらいなので、当時しがらみばかりで自由な結婚の選択も難しかったイギリス女性たちの憧れの的になっていただろうなというのは想像がつきます。
他の作品も原書で読みたいな~と思っているところです。

Hazelさん

この時代に生まれていたら、結婚のプレッシャーが重いだろうなぁ・・・
と思いながら読んだのを思い出しました。
私だったら、エリザベスみたいに毅然としてはいられないだろうなぁ。

次はいよいよJane Eyre を聴き読みされているのですね!
私も、聴こうかなぁ・・・もうちょっとPuffin Classicで行こうかなぁ。
悩むところです。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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