英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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Northern Lightsを初めて読んだのは、7年前の初夏でした。 そして、その夏に、作者である、Philip Pullmanに会う機会に恵まれました。


2000年の7月に、イギリス児童文学のゆかりの地を訪ねてまわる、"Literary Landscapes: British Children's Literature in the Twentieth Century."という旅行に参加しました。 イギリスの南部から中部、Sussex Oxfordを中心に、有名な児童文学が生まれた場所を訪ねる12日間の旅行でした。 当時Sussex大学で児童文学を教えていた、小柄ではつらつとしたKimとひょうひょうとしたNickが企画、同行してくれ、彼らの友人でもある作家に会いに行ったり、作家の遺した家を訪ねたりしました。


この時、OxfordのホテルにPhilip Pullmanがやってきて、午後の数時間、様々な話しをしてくれました。 穏やかな声で、気さくに話してくれる男性でした。彼の写真は、こちらでどうぞ。


Northern Lightsの主題については、本と読者の出合いにまかせたい、とあまり積極的には語ってくれなかったように思います。(と、おぼろげな記憶で思うのですが、あるいは、聞いてもわからなくて、印象に残っていないだけかもしれません。今になって、聞きっぱなしでろくなメモも取らなかったのを後悔しています。)


今でも鮮やかに覚えているのは、Northern Lightsではこれが楽しかったんだと、各章の扉の小さなイラストの原画をみせてくれたことです。自分で描いたんだよと、はにかんだように、でも嬉しげに、それぞれの絵のコンセプトを説明してくれました。 このイラストは、Philip Pullmanホームページのアイコンにも使われている、モノトーンの小さいもので、Philip Pullmanの頭の中に広がる物語の世界を凝縮して描き、なかなか味があると思いました。



さらに、Oxfordという街をとても好きだと話してくれました。
Northern Lightsの主人公LyraOxfordに住み、Oxford Jordan Collegeから物語は始まります。 Phillip Pullman自身もOxford大学で英語を学び、今もこの街に住み、Oxfordで教えてもいました。


Oxfordは、イギリスの有名なファンタジーを次々と生み出した街でもあります。「不思議の国のアリスの作者Lewis Carrollは、OxfordChrist Churchで教えていたし、時代は下って、「ナルニア物語」の作者CS Lewisと「ホビット」や「指輪物語」のJRR TolkienOxfordの学者仲間でした。


この数百年の歴史をもつ大学の街に住み、古い道を歩き、建物を眺めながら、彼は作品の世界のイメージを広げていったと語りました。


話しが一段落すると、思いがけないことに、「みんなで博物館に行こう」、とPhilip Pullmanが言い出し、私たち一行は、彼にぞろぞろとついて歩きながら、ドードー鳥の展示があるOxford University Museumに行きました。 



ここが僕のインスピレーションの秘密だ、と言いながら、ビクトリア時代に、世界中の奥地に行ったイギリスの探検家たちが集めた古い展示品のあるコーナーに案内してくれました。


イギリスから見れば世界の果ての、アジア、アフリカ、アメリカなどの国々の、珍しい風習を伝えるコーナーの古ぼけた品々の一角に、北極の民族の展示品もありました。 古い衣装や、生活道具、武器、医療器具がならんでいる、地味で静かな一角でした。


Philip Pullmanは、時々、一人でここに来て、ここの古い道具を使っていた人々を思い浮かべることがある、と話してくれました。北極を、韃靼人や北極熊や魔女が駆け巡るシーンのイメージは、この博物館で広がっていったのです。彼の頭の中の古風なたんすの引き出しが、ここで一つずつ増えていったような気がしたものでした。 


しばらく説明してくれた彼は、みんなゆっくり楽しんでね、と言い、足早に帰っていきました。 今確認すると1946年生まれの彼は、当時54歳、すでに児童文学の作家として売れっ子で、Matureな人だという印象でしたが、不思議にはにかみ屋のイメージが残りました。


Philip Pullmanは多くの作品を書いていますが、ずっと読みやすい本に、中世を舞台にした童話風のClockworkという本もあります。イギリスの小学校中学年ぐらいの子どもに人気があり、ちょっと恐いのですが、どきどきとして面白い、彼の語り口のうまさにうなるお話しです。



 


その後、Philip Pullmanは、Lyra’s Oxfordという手のひらにのるほどの小さな本を出しました。 



Oxfordの古い地図を挟み込み、白黒の版画を入れた、凝り性の彼らしい本で、LyraOxfordの小さなエピソードを描いています。(物語としてはやや面白みに欠けるのですが、彼のOxfordへのこだわりが伝わってきます。) そして、もうしばらくすると、Dustにまつわる話の続編が出版されるようです。


追記


この時の旅行を企画した、Kim Reynoldsはイギリス児童文学の有力な研究者として実績を重ね、現在Newcastle大学の教授をしています。年上のNick Tuckerは大学を引退した後、児童文学評論家として本を出版したりしています。



この記事を書くために久しぶりに連絡をとり、楽しい思い出が蘇りました。

コメント

ワクワクします♪

おはようございます♪
素敵なファンタジー紀行を有り難うございます。
Northern LightsでPhilip Pullman さんの著書に興味津々でしたが、この記事のお陰で、一層、注目のまととなりました♪
Northern Lightsは和書で読むとして…
I WAS A RAT! やClockwork なら今年中に読めるかしら…と欲張り始めたり(*^_^*)
Oxfordという街。
その街にある あらゆるものを個の中に取り込み作品を披露してくれる作者達。
そこから生まれた数多くの作品をこれから楽しめれば嬉しいです。
素敵な記事を有り難うございました。(*^_^*)

素敵なお話どうもありがとうございました。うっとりと読ませていただきました~。Phillip Pullmanに、彼の作品の舞台になっているオックスフォードで会われたなんて!彼のファンにはたまらない状況でしょうね。Dillさんは、イギリスで児童文学の勉強をされたのでしょうか?ほかにもどこにいかれたのかな?よかったら、またお話きかせてください。

びっちゃんさん、
読んでくださってありがとうございます!
うふふ、Philip Pullmanって、本当に素敵な男性で、私は、ぼ~っ、としてしまいました。
Clockworkもなかなか味があるので、力を入れてお勧めしてしまいます。
そして、Oxfordは、不思議な街だと思いました。 ファンタジーの世界への扉があちらこちらに隠されているような、時間を飛び超えて、昔の世界に入り込むような・・・ちょっと、京都に雰囲気が似ているかもしれません。

michiさん、
この旅行は、たまたまインターネットのMailing Listで話題になっていたのを見つけて、参加したんです。 もともとはアメリカの大学の児童文学のゼミの先生とイギリスの教授が意気投合して企画したものだったようです。私は児童文学を勉強したこともなく、みんなのあとから、ひょこひょこ付いていっただけですが、とても楽しかったです。企画してくれたKimとNickの人柄のおかげも大きかったです。
7年も前のことなのですが、このまま忘れてしまうのも惜しいような気がして、私自身の感傷で書いた記事なので、読んでいただけてうれしいです。これからも、ぼちぼち、あの時訪れた場所について書いてみたいと思ってます。
ところで、もうすぐ、Pride and Prejudiceが終わります。 最初は苦労したのですが、michiさんがおっしゃったとおり、佳境に入ったら、なかなかやめられないぐらい面白いです。

Dillさん、こんにちは。夢中になって、こちらの記事を読みました。イギリス児童文学のゆかりの地をまわられて、そしてPhilip Pullmanに実際に会われたんですね。会ったこともないのに、私まで彼の人柄が少し分かった気になってしまいました♪ ぜひ、また他に行かれた場所のことなども教えてくださいね。(*^-^*)

nikoさん、
楽しんで読んでくださって、とてもうれしいです。
たまたま先週、BBC4で、Philip PullmanがSenior Schoolの英語の先生に会う、”Philip Pullman and Miss Jonesというラジオ番組をやっていました。
50年前の若い女性の先生の英語の授業が、彼の創作のきっかけになったそうです。この恩師に再会して、思い出話しに花咲かせるのですが、落ち着いて話す彼の中に少年っぽさがのぞいて、うん、やっぱり素敵な男性だなぁ、と思いました。 詩や俳句のことも話題になってました!
でも、彼の全作を読むのは、英語がしんどくて、道ははるかに遠いです(笑)。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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