英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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この本を読みたいと強く思ったのは、作者自身の朗読で、フルキャストのセリフ入り、しかも全文完全朗読と、珍しく3拍子そろった迫力のあるAudio Bookが図書館の棚にあって気になって仕方がなかったからです。


12時間の長丁場なので気力が必要でしたが、Audio Bookを聞きながら読んだことで、私はこの本を立体的に楽しめた気がします。いつものことながら、なかなか英語に集中できないこともあり、朗読が伴走してくれたおかげで、なんとか読み続けられたことも何度かありました。


まず、作者のPhilip Pullmanの声が穏やかでやわらかく、この物語に合っています。作者自身の朗読のAudio BookKite Runner以来2作目ですが、どちらも作者が一対一で語りかけてくれているようで、読者冥利につきる思いがしました。彼の朗読は、こちらのサイトで一部聴くことができます。


また、作者が、知り尽くした自分の本を情熱を込めて読んでいるので、物語が進むにつれ、緊迫感がひしひしと伝わってきます。山場になると、いっそう押さえた声で、朗読のスピードがぐんぐん上がって、臨場感を盛り上げてくれます。 特に最後の迫力のシーンは圧巻でした。 ただ、早口になるので、耳だけではとても聞き取れず、精一杯集中して、音のスピードに目のスピードをあわせて、作者の後ろをはあはあ追いかけるような気分でした。何度かテープを止めて、もう一度文章を読み直すこともありました。


もうひとつ、この作品がAudio Bookに向くのは、固有名詞が非常に凝っていて、活字を見ただけではなかなか音がイメージできない名前が少なくないからです。この物語でとりわけ大切な人の魂となるdæmon、黄金のコンパスAlethiometer, Lyraの愛するIorek Byrnsion。 こうした不思議な響きの言葉を何度も聴いていると、その珍しい音の響きが抜群の効果をあげることがよくわかります。Philip Pullmanは凝って、凝ってこうした名前にたどりついたのだろうな、と思います。


 キャストは、かなりよい声優がそろっていました。 主人公のLyraは、ちょっと演技過剰かな、と思うシーンもありましたが(主人公のあまりに強い性格にちょっと私が引いていたからかもしれません)、うまいです。 ただ声が高く、早口なので、(子どもの声が大抵そうであるように)聞くのは一番難しかったです。 私が一番好きだったのは、Iorekの独特に深く低い声で、このキャラクターのイメージにぴったりでした。 


フルキャストのドラマ化というと大抵は、2時間程度の短縮ですが、12時間分の録音を、作家自身とキャストが集まって作り上げていく(もちろん、パートごとに必要な人だけが集まったのしょうが、それにしても・・・)のですから、作家も出版社も、なみなみならぬ情熱をもって作ったAudio Bookだろうと思います。


ちなみに、この本には2時間強のBBCのラジオドラマのAudio Bookがあり、こちらも聞いてみました。



Audibleなどではこちらだけが手に入るのですが、この壮大な物語を五分の一に縮めているので、あらすじだけを追うのが精一杯で、この本の素晴らしさは、残念ながら伝えきれていない、という気がしました。


 今でも、凍てつく北極の漆黒の夜、数限りない星が光るだけの地の果てで、Lyraがたった一人で、心が張り裂けるような恐怖の中から立ち上がるシーンが目に浮かびます。言葉だけで、映像を使わずに、ここまで鮮やかに描き出す、作者の力に感銘しました。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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