英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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By Philip Pullman



久しぶりに、壮大なファンタジーの物語を読みました。

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11歳の少女、Lyraは、親がいないため、学者である伯父のLord Asrielの庇護のもと、オックスフォード大学、ジョーダンカレッジに住んでいます。 伯父が留守がちなのをいいことに、街の子どもたちと、屋根の上を探検したり、喧嘩に夢中になったり、ワイルドで怖気づくことを知りません。 


ある日、カレッジの中でも女性の入室が禁じられているRetiring Room(食事のあと大人の男性たちがあつまってシガーとお酒を楽しむ部屋)にこっそり入り込み、学者たちの秘密の会議を覗きます。 そこでは、はるか北極への探検、北極での秘密の実験、Dustと呼ばれる不思議な現象などが、学者たちの間で、世界を脅かす重大な問題として議論されます。


ところで、ライラの住む世界は、われわれの知っている世界の一昔前とそっくりなのですが、決定的な差があります。動物の形をしたdæmon(ディーモン)が一匹ずつ、それぞれの人に宿り、一生をともに過ごし、決して離れることはありません。dæmonはその人の魂であり、子どものdæmonは時々に形を変えますが、成年に達すると、その人の心を映した動物の姿に固定します。たとえば、天才的な船乗りのdæmonはいるかであり、召使のdæmonは犬が多いとか。


さて、オックスフォードでは最近、子どもが頻繁に姿を消す事件が発生して、カレッジの遊び仲間、Rogerも突如いなくなり、Lyraは、誘拐されたのではないか気が気ではありません。そんなある日、カレッジの学長に呼ばれ、Lyraは魅力的な女性Mrs Coulterに預けられることになったと伝え、Lyra の抗議に耳を貸しません。そのくせ、出発の朝には、学長はあわててLyraにずっしり重い黄金のコンパスを手渡し、このコンパスは世界中にいくつもない大切なものであり、Mrs Coulterには見せないように、と不思議な別れの言葉を与えます。


ロンドンにあるMrs Coulterの家にやってきたLyraは、まばゆいほど華やかな生活を始めますが、やがて魅力的なMrs Coulterに恐ろしいたくらみがあることを知ります・・・・


ファンタジーの名作として評判が高く、1995年のカーネギーメダルの受賞作品です。この本はHis Dark Materialsという3部作の第一作になります。アメリカでのタイトルはThe Golden Compass, 日本では「ライラの冒険」の第一作「黄金の羅針盤」の名前で翻訳されています。








 


あり得ない世界の話しなのに、いつの間にか現実感が宿り、物語が進むにつれて、北へ北へと北極のかなたに舞台が移るのといっしょに、ぐいぐいとひっぱられていくような気がしました。 


主人公の少女は、意思が非常にはっきりしていて、大人のお膳立てをどんどんと覆しながら、自分で選んで北へと進むのですが、最初は彼女のあまりの意志の強さに、私はいささか引いてしまう気がしました。けれども、読み進めるにつれ、Lyraが単なる少女ではなく、稀な才能をもった「選ばれし者」として世界を変える使命をもった者であると感じるようになりました。


彼女がくぐりぬける世界は、不気味な迫力があり、同時に北国の凄烈な美しさをもっていて、私の中に鮮やかなイメージが残りました。Lyraをとりまく登場人物も、強烈な自我をもった人々であり、また魔女や北極熊が個性的な存在感をもって重要な役を演じます。


この本は、Teen向けの本として図書館や書店では並んでいますが、物語の骨格は深い知的な考えに基づいていて、幾重にも複雑に組み立てられていて、私自身、作者のメッセージをどこまで受け止められたか、よくわかりません。 ミルトンの失楽園や、ビクトリア時代の歴史、聖書、北欧の神話などが、どんどん登場するので、玄人好みと評されるゆえんだと思います。 キリスト教が重要な役割を果たすのですが、その登場のしかたにもずい分議論があるようです。細部にこだわって意味を考えても面白いし、細部を振り捨てて物語を楽しんでも面白い、そんな本です。


そうは言っても、400ページの厚さで、表現も洗練されているだけに聞きなれない単語もよく出てくるので、英語で読むのはなかなか手ごわい、と思いました。実は私は7年ほど前にこの本を一度読んだことがあるのですが、その時はあらすじを追うのが精一杯で、細かいシーンはあまり印象に残りませんでした。 今回はずっとイメージが鮮やかで存分に味わったけど、すぐに3部作の2冊目に進むのはちょっとしんどい気がします。読みたいけど、まず、一休みしてエネルギーをためなくちゃいけない。


この記事を書いていて初めて知ったのですが、この作品は2007年末の公開の予定で映画が製作されているそうです。 スケールの大きい物語をどう映画に表現するのか、なかなか難しいと思いますが、The Lord of the Ringsと同じ制作会社が巨額の予算を組んでいるということなので、かなりの話題作になりそうです。私としては見たいような、自分だけのイメージを大事にしたいような、複雑な気がします。映画のサイトはすでに公開されています。

コメント

私自身はファンタジーはほとんど読むことなくて、せいぜいハリポタくらいなのですが、この本、His Dark Materialsは、何年か前にBBCが企画したBig Read(視聴者から好きな本の投票を募る)で、3位にランクされていたのを覚えています。
http://www.bbc.co.uk/arts/bigread/

私の夫や、夫の妹がこういった本がすきで(二人とも典型的に理系)、私には、It's not my cup of teaというかんじでしたが、Dillさんの詳しい紹介を読んで、興味が出てきました。たくさんの人に支持されている本、しかもこの本は年齢を問わず読まれているので、やはりそれなりの理由があるんですよね。

こんにちは。この本は、二年ほどまえ洋書で読んで、ファンタジーを読むことの難しさを教えてくれた本です。その世界を英語で理解することに限界があると感じて、和書を図書館で借りて合わせて読んでいった記憶があります。Dillさんの記事を読んで、やっぱり私は表面的なあらすじを追うだけで読んだ気になっていたことに気づきました。もっと深いメッセージが色々こめられていることを知って、もう少し力がついたら再挑戦してみたいなあ、と思いました。

michiさん、
私もファンタジーはどちらかというと縁遠い方で、イギリスに来るまで食わず嫌いでした。 今でも、熱烈なファンとはいかないけど、ナルニアやホビットやアリスを読んでるうちに、かなり好きになりました。 ぜひmichiさんの、この本についての感想を伺ってみたいです。
ところで、The Big Readを教えてくださって、ありがとうございます。ほほー、ですね。 私も今年のNational Telegraphのベスト100を見つけて娘といくつ読んでるか数えたりてました(つい数えちゃいますよね) http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/03/01/nbooks01.xml
私も興味があったので、ちょっとCut & Paste して比べてみました。 

2003年BBCのベスト12
1. The Lord of the Rings, JRR Tolkien
2. Pride and Prejudice, Jane Austen
3. His Dark Materials, Philip Pullman
4. The Hitchhiker's Guide to the Galaxy, Douglas Adams
5. Harry Potter and the Goblet of Fire, JK Rowling
6. To Kill a Mockingbird, Harper Lee
7. Winnie the Pooh, AA Milne
8. Nineteen Eighty-Four, George Orwell
9. The Lion, the Witch and the Wardrobe, CS Lewis
10. Jane Eyre, Charlotte Brontë
11. Catch-22, Joseph Heller
12. Wuthering Heights, Emily Brontë

2007年 Telegraphベスト12
1 Pride and Prejudice - Jane Austen
2 The Lord of the Rings - JRR Tolkien
3 Jane Eyre - Charlotte Bronte
4 Harry Potter series - JK Rowling
5 To Kill a Mockingbird - Harper Lee
6 The Bible
7 Wuthering Heights - Emily Bronte
8= Nineteen Eighty Four - George Orwell
8= His Dark Materials - Philip Pullman
10 Great Expectations - Charles Dickens
11 Little Women - Louisa M Alcott
12 Tess of the D'Urbervilles - Thomas Hardy

でした。 映画などの話題にのって順位の入れ替わりがある感じですね。 

nikoさん、こんにちは。
nikoさんもこの本を読まれたのですね。 私も、今回もファンタジーの世界を理解することの難しさを、感じてしまいました。 でも、今でもふっと、物語のシーンがいくつか鮮やかに浮かぶので、その感覚を楽しめばいいのかな、と思っているところです。

Northern Lights

こんにちは。1,2ヶ月ほど前よりおじゃまさせていただいている、こちらもイギリス在住主婦です。今回とりあげておられるNorthern Lightsは長男がYear6のときに読んでいるのを横からちらっと見たのですが、何だか手ごわそう!と諦めて依頼記憶の底に沈んでいました。Dillさんの詳しい解説&感想のおかげで、もしかして私にも読めるかも、とちょっと希望がわきました。ありがとうございます。
BBCのBig Readはもう4年も前!になるのですね。当時我が家では私Pride and Prejudice対息子達The Lord of the RingsでWebで投票もしたのですがやはり映画の影響か、私が悔しい思いをしました。今年のテレグラフのリストでは逆になっていますね!でもこれもBecoming Janeの影響でしょうか。
ところで、昨年秋にBBCで放映されたJane Eyreはご覧になりましたか?私はすっかりはまってしまい、DVDを購入してひたっております。これまた息子達の冷たい視線にもめげず・・・。
私も本が大好きで、Waterstoneや Smithに行くといつもわくわくします。(でもついついAmazonで買うほうが多いのですが)
これからもいろんな本の情報を教えていただけると嬉しいです。

Kimさん、
コメントをくださってありがとうございます。
ちょっと環境が似ていらっしゃるようなので、コメントを読ませていただいて、うれしくなりました。
Northern LightsをYear6で読まれた息子さんは、きっと本好きなんでしょうね。 うちは、今ちょうど、Year6, ほっとけば本には興味が全くないので、いっしょに同じ本を読んで競争しよう、なんて言って誘って、本を薦めています。家族の都合で日本とイギリスを行き来しているので、言葉は苦労の種です・・・
今は息子と、Roman Mysteryを順番に読んでいます。息子の方が英文を読むスピードは早いので、私はずるしてAudio Bookでスピードアップしています。
Jane Eyreも見ました!こちらはYear8の娘の方が、結論を知りたくて(私は知っていたので)、はらはらどきどき食い入るように見ていました。 私もとてもいい作品だと思いました。 DVDを買われた気持ち、わかります。 
ITVのMasfield Parkは見られました?私は見逃てしまって悔しかったです。・・
昨日Waterstoneに行ったら、Jane Austenのコーナーがど~ん、とありました。こうやってブームは作られるのだな、とちょっと斜に構えたい気もしますが、ここはこのブームに乗って、Jane Austenをいろいろ味わうのもいいな、と思っているところです。
これからも、遊びにいらしてくださいね。。

お返事をありがとうございます。
ITVのMasfield ParkはBillie Piperがどうにも好みではなく(どうしてもDr WhoのRoseという印象が強くて)Costume Dramaと合わない気がしてしまい、見始めたものの途中でやめてしまいました。
Jane Eyre/Jane役のRuth Wilsonのようにfresh faceでもいいからもう少し陰のある女優さんだったらなあ、というのが率直な印象です。(もしBillie Piperがお好きなら、すみません!)

話は変わりますがAudio Bookはいいですよね。以前にHarry PotterのAudio Book read by Stephen Fryを買って感動したのを思い出しました。(彼のように美しいアクセントだったらいいのになあ、等々)私にはちょっとお値段が気になるところですが、気に入った本があったら自分にご褒美、という気持ちで買ってみるのもいいかもしれませんね!

Kimさん、
Billie Piper、そうですね、ちょっと意外な配役でしたね。私もRadio Timesの表紙を見ながら、へぇ、彼女がやるとどんな感じになるのかなぁと、思ったのですが。。。 Kimさんからごらんになると、あまりしっくりこなかったのですね。
Audio Bookについては、私はとても楽しんでいます。最近はちょっと中毒気味です!それも、図書館に膨大なAudio Bookのコレクションがあるおかげで、自分で買うとなるとなかなか決心がつきません。イギリスの図書館はどこもAudio Bookを沢山もっているのかなーって思っていたのですが、Kimさんのご近所はいかがですか?

サマータイムになりましたね!学校も来週でおしまい、Easter is coming!と単純な私はそれだけで嬉しくなってしまいます・・。
Audio Bookは最寄の図書館にあるのですが、ほとんどがカセットです。我が家のカセットプレイヤーは壊れているのでCDを探すのですが、ほとんどなくて、あっても本でもちょっと借りないようなものだったり、ということが多くて諦めていました。でもそれも1ヶ月以上前のことなので、もしかしたら新着CDがあるかもしれません。
さっきSunday Timesで Northanger Abbeyがある、と知りました。理解できるかは別として、楽しみです。情けないことに、こちらにいる年数と英語力は比例しないので・・・。

Kimさん
本当に、サマータイムが始まると、突然初夏の気分ですね。7時になっても外が明るくて、夕方にたくさん遊べるような、うきうきした気持ちになります。
私もイギリスでは、CDへの移行がゆっ~くりで、テープが幅を利かせているのが、らしいなぁと思ったりしています。
Northanger Abbeyは、チャンネルをあわせたけれど集中できずに、途中でやめてしまいました。最後まで見た娘は気に面白かったと言っていました。
「こちらにいる年数と英語力は比例しない」ええ、全くそうですねぇ。子どもにはどんどん追い越されるし。。。。

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カレッジについて

カレッジカレッジ(英字 college)とは、元々「仲間(colleague)」の集まりを意味し、現在の日本では「大学」の意味で用いられることが多い。西欧におけるカレッジ西欧において、カレッジは様々な意味で用いられている。典型的には「学校」の意味で用いられることが多いが

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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