英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
アニメで有名な「フランダースの犬」の原作です。
ルーベンスの名画が飾られた聖堂と、水車のあるベルギーの村を舞台にした、
少年ネロと、犬のパトラッシュの物語です。




DF22.jpg



父母をなくしたネロは、年老いたおじいさんと、
アントワープの村のはずれの小屋で食事にも事欠く貧しい暮らしをしていましたが、。
ある日、残酷な飼い主にこき使われて死にかけた犬を家に連れ帰ります。
やがてパトラッシュと名づけられたこの犬は、2人の生活を支えるようになります。
ネロとパトラッシュは幸せな毎日をおくっていたのですが、
貧しいネロたちに、村人はつらくあたります。


DF15.jpg
1891, Boston 表紙も含め、すべて同じ本です。イラストレーター名は不明です




私も小さい頃、このアニメを見たし、悲しい物語だと思うのですが、
今回原作を聴いてみて、正直なところ、どうもしっくりしませんでした。
アニメでは、ネロは10歳以下ぐらいだったような気がするのですが、
原作では15歳の少年です。 

実はウチの息子が14歳で、彼やそのクラスメートと姿が重なるのですが、
私より背が高い子が多いし、体力的にはもうずいぶん大人に近いし、
精神的にも、子どもの世界を出て、大人の世界に近づきつつあります。
そのイメージをネロに重ね合わせると、どうしても考え込んでしまいました。



ネロは、90歳近い年齢のおじいさんが、細々とやってきたミルク配達の仕事を引き継いで、
(それもパトラッシュがリヤカーを引いて、ネロはそれに付き添いながら村人とのやりとりをする)
最低限の生活をなんとか維持していたのですが、村人の仕打でその収入の道が途絶えてしまいます。
この時、絵のコンテストに入賞したら新しい道が開けるかもしれないとは思うのですが、
なんとか当面の生活費をかせごう、と必死で収入の道をさぐっているようではありません。


DF3.jpg


自分の息子だったら、もっと強く自分で道を切り開く努力をして欲しいと思うし、
15歳なら、十分それができる年だと、私は思ってしまうのです。

それとも、アニメから受けていた、「精一杯生きようとする幼い少年が、万策つきて死に追いやられてしまった」、
という「マッチ売りの少女」のようなイメージを一旦取り払って、
貧しいゆえに孤独な思春期の少年が、あわい恋にやぶれ、周りの惨い仕打ちに絶望して、
消極的にではあるけれど、自ら凍死を選んでいった・・・と捕らえればいいのかなぁ。 

DF9.jpg


死に至るネロの心は、ルーベンスの絵を見たいという思いに集中して描かれているので、
ネロの心の中の葛藤がどうあったのか、私にはわからないのですが・・・
あるいは、天性の芸術家だったネロの、芸術だけに生きる思いを描いた作品なのかなぁ。



DF1.jpg



というわけで、15歳のネロということにどうしてもひっかかったのですが、
物語を聴きすすみ、クライマックスに近づくにつれて、15歳の青年ネロのイメージはかすみ、
7-8歳の、小さい子どものネロのイメージがひろがり、
悲しい結末にジーン、としてしまいました。


DF7.jpg




この物語の英語は古風で、Youが古語のthouだったりするのですが、
この本がイギリスで出版されたのが1872年、日本では1867年の明治維新直後にあたり、
言語一致のさきがけとなった小説「浮雲」の5年も前だったと思うと、
古風な英語で当たり前だと思います。
むしろ、こんなに古い小説を聴いて、ほとんど違和感が無いことがすごい。
日本語のこの150年の変化に比べると、英語の変化はずっと小さいですね。


DF11.jpg



ただ、聴いたばかりの「銀のスケート」(感想はここ)はもっと古い1865年の出版なのですが、
子どもはもっとたくましく生き生きしていたように思うので、
それだけ「銀のスケート」は子どもの本のさきがけとして、画期的だったのだなと感じます。
また、社会的に地位を得るようになる生活力のあるアメリカ女性(銀のスケート)と、
若くして有名になりながら社会から孤立していったイギリス人女性(フランダースの犬)という、
作者とその環境の違いも反映されているようにも思います。


この本の作者、Ouidaはイギリス人で、
ビクトリア時代のイギリスでは型破りな女性だったようです。


DF17.jpg




20歳代で小説家として知られるようになりますが、
ビクトリア時代のモラル重視の小説が主流の時代に、
繊細で華やかなユニークな作風で、注目を集めたようです。

その後、ロンドンに住むようになって、
作家である彼女をとりまく人々と華やかながら、
ややエキセントリックな社交生活を送りました。 
一時はホテルに住んで、カーテンを閉め切って、
紫色の花を飾った暗い部屋で、ろうそくの火のもとで小説を書いていた、
という逸話があります。
その後、ヨーロッパ大陸に移り、最後はイタリアのフィレンツェでなくなります。 
生涯にわたって、長期的なパートナーはいなかったようで、
犬をとりわけ愛し、一時は30匹の犬と暮らしていたし、
動物愛護運動に奔走したそうです。 


DF13.jpg



こうして彼女の伝記を読むと、このフランダースの犬という子どものための作品に、
彼女の社会への鬱屈、そして犬への愛情、という思いを注いだ作品だったと感じます。

フランダースの犬は、クリスマスの物語でもあります。 
彼が冷たい大聖堂で、月の光をあびたルーベンスの絵を見たのは、クリスマスイブでした。
そう言えば、マッチ売りの少女もクリスマスの夜のこと、ヨーロッパ人の、
この季節への特別な思いがこもっているのかもしれません。

この本も、岩波少年文庫に入っているのを見つけました。
以前作った、LibriVoxで聴ける岩波少年文庫のリストに加えておきます!


frand.jpg




この朗読は、男性のソロで、LibriVoxでたくさんの朗読をされている方です。 
ゆっくりと古風な抑揚を感じる録音で、この作品とよくあっていると思います。
英語が古風なだけに、ちょっと慣れない感じはするかもしれませんが、
ビクトリア時代の英語の味わいがなかなか楽しいです。

LibriVoxのページはこちらです

コメント

15歳でしたか・・

ネロが、原作では15歳だったのですね。各国・・というか、日本の私達に届いていたイメージは幼い少年ですよね。古い物語や童話が、世に広まって、万人に受け容れられやすく変わっていく例はたくさんありますが、この物語も、作者の考えとは、随分違って広まっているのかもしれませんね。
昔、アリスやピーターパンやプーさんが、ディズニーではなく原作があったと知った時にはびっくり!したものですが、形を変えて伝えられた物語たち、時には、原作に帰って、味わい、その功績を称えたいものです。Dillさん、ありがとうございました。


犬関係のドラマや小説にはやられます

Dill様
お久しぶりです。北海道は寒くなってきました。今週は、車、冬タイヤに取り替えます。
犬関係のドラマや映画、小説には、ぐっときます。「フランダースの犬」のアニメも、よく見て泣いてました。でも、ネロが15歳という設定だったとは知りませんでした。アニメやまんがバージョンだけでなく、原作に触れると、勉強になることがたくさんありますね。
私も、老後はアニマルシェルターのボランティアかなにかしたいなぁと考えることがあります。

Re: 15歳でしたか・・

エコーさん、こんにちは

アニメと原作の関係って、ちょっと微妙ですよね。
シンデレラや白雪姫も、昔話で聴いたり、絵本で見たりするととりどりに素敵なイメージがあるのですけど、
ディズニーのイメージが強くなってしまって、ちょっと残念のような・・・
プーさんも、アリスも、ピーターパンも、こっちに来て、物語の舞台に行ってみて、アニメでみたときより、
なんだか身近になったような気がしました。
原作って、大人になって触れると、なかなかいいですね!

こちらはどんどん寒くなってきました。 風邪もはやっているみたいですね!

Re: 犬関係のドラマや小説にはやられます

ポッピーママ さん、本当に寒くなりましたね。
もう冬タイヤですか、ということは雪が間近なのでしょうか?
こちらは、寒くて、曇り勝ちの湿った毎日ですが、雪はあんまり降りません。

犬が好きで好きだった作者だから書けたお話なんでしょうね。
それに、イギリス人は、やっぱり無類の犬好きだと思います。
夕方に公園なんか行くと、もういろんな犬がお散歩中で、家族の一員として大事にされています!
そうそう、クイーンもそりゃ犬好きだそうですしね.

私は老後は、LibriVoxの朗読でもしようかなぁ・・・(笑)

朗読聴けました!

いつも聞き始めと、聞いてからと感想を書いてましたが、(一日一章とか、少しずつ聞くので、なかなか終わらないので)一週間ぐらいで聞くことができました。
アメリカ図書館のサイトで豊富なイラストをみながら、聞きました。
英語が難しかったです。でも、そうか、古風な英語なんですね。
ところで、私は、わからない単語とかに出会うとどうしても、英英辞書や、辞典なんかで調べたくなりますが、
娘と聞いているので、中断させたら悪いと思って、最後まで聞きました。多少わからなくても、十分
ネロの世界、楽しめたと思いますが、
ここで、原書を楽しんでいる皆さんは、わからない単語や表現なんかあった場合どうしてるんでしょうか?
私は、しらみつぶしに調べないと、気がおさまらないタイプなんですが、なかなか時間が取れなくて、、だから、また辞書とくびっびきで、蛍光ペン片手に、原書に取り組もうと思ってます。

最後のエンディングでは、あまりにも理不尽なことばかりで、娘も驚いてました。

ネロは、自分の絵の才能をたよりに、なんとか生きながらえて、最後には、見たかった絵が見れて、もう十分です、、って、
一方で、アロアの父は、自分のしたことの愚かさを反省し、娘はネロにまた会えると朝を楽しみにし、ネロの才能を評価する人がいたのに。
こんなすれ違いってないですよね。本当、遅すぎる。。悲しい話でした。
私も娘もアニメを見たことがなかったけど、アニメ映画を見て、号泣しました。
アニメと原作の違いもありますが、最初の方、アロアの絵を描いて、父にお金を渡され、ネロ辞退する、絵を暖炉に飾るところなど、原作に忠実な場面もあり、英語の朗読とあわせて、楽しめました。

今度は、More Williamの原書がちょうど届いたので、早速読もうと思ってます。
これからの季節、アイスブリンガーの話も楽しみです。

本も分厚いし、朗読時間も長いですね。でも、やさしい英語なんですよね。Audio Book Clubに
紹介されるのは。今まで、気づかなくて、改めて知りました。すみません。

Horrid Henry、娘が始めて、bigtoesで聴いて、はまったシリーズなんです。
すごく楽しみです。

Re: 朗読聴けました!

mellovemaさん、こんにちは!
コメントありがとうございます、それに返事が遅くなってごめんなさい!
ブログのコメントの通知がなぜか私のメールに来なくなっていて気づきませんでした。
通知が来ない理由がわからずこまっってますが、それにしても、失礼しました.

お嬢さんって、とてもやさしい方なのでしょうね、アニメに号泣される気持ち、わかります。
本当、あのアニメは、私もついうるうるしてしまいます。(この年でとも思うし、この年だからか??)

英語で聴いていて、知らない単語に出会うときって、難しいですよね。
意味をわかりたい、という気分と、辞書なんかひいて、この雰囲気と流れを壊したくない、という気持ちと、
どっちもありますもんね~。
私は聴いているときは、ぜんぜん辞書をひかず、知らない単語は、どんどん頭を素通りしていて、
その虫食い状態でも、なんとなく意味がわかればいいや、と思っています。


読むときについては、私がこのごろ気に入っている方法を、ご紹介しますね。
まず、GoogleのExtensionでGoogle Dictionaryというのがあって、
https://chrome.google.com/extensions/detail/mgijmajocgfcbeboacabfgobmjgjcoja
これをインストールします。 これで、Google Chromeで読んでいるテキストの単語をクリックすると、
すぐに意味がポップアップメニューで表示されるようになります。

これって、けっこう便利ですよ。意味調べが、ほぼ一秒でできます!!(私は結構感動しました!!)
日本語への翻訳もサポートされているらしいので、日本語の意味を出すのもいいかもしれませんが、
私はとりあえず、英英辞書で使って、スピードの速さがとても気に入っています。
これで、どんなインターネットサイトも、ぴゅんぴゅん意味をチェックしながら、
読めます(読むのは、亀のようにのろいのですが・・・笑)

ただ、この辞書はGutenbergのテキストには使えるけど、
古い本を複写してそのコピーを見せるInternet Archiveには使えないので、
イラストつきの本には使えず、そこはちょっと残念です。

More Williamも聴かれていらっしゃるのかなぁ、感想楽しみにしてます!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corianderuk.blog80.fc2.com/tb.php/233-c95f8ea0

名前:
メール:
件名:
本文:

Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。