英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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1961年、イギリスのロンドン郊外、
私立女子校に通う、16歳でうつくしい女学生Jennyは
Oxford 大学の合格を目指して、勉強づけ。
お行儀のいい、刺激のない毎日を送っている。
ところが、あるどしゃぶりの雨の日に、
30歳すぎの大人の男性に声をかけられる。

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Jennyが、2倍も年上で裕福で世慣れたDavidが見せてくれる、
洗練された大人の世界に夢中になって、
でも、やがて苦い現実にめぐりあって、自分自身の手足を使って、
自分の人生を切り開くしかないことを、悟る。

とまあ、16歳の少女が大人になっていく物語と言えば、シンプルだけど、
この映画は、形はそれぞれちがっても、誰もが経験する、
16歳のころのじりじりとした思いを描いて、秀逸。
2010年のアカデミー賞で、作品賞、主演女優賞、脚色賞の3部門で
ノミネートされたそう。



俳優陣はそれぞれつぼにはまっていて、いい演技だったし、
脚本のうまさについては、脚本の玄人のこの解説を読むとおもしろい。
それに、1960年初頭の、イギリスのハイソなファションが素敵です。
似てると思って確かめたら、ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」が、
ちょうど1961年の製作なんですね。 
あの時期のイギリスもチャーミングで、
古い価値観と、アナキー(女子高生がみんなタバコを吸っているとか。)さの
微妙なバランスもおもしろい。

でも、私が一番面白かったのは、イギリスの階級社会と、教育の描かれ方。
ウチの娘は今、主人公とちょうど同じ年で、ロンドン郊外の私立女子校に通い、
大学をめざして、お行儀よく(?)勉強中心の我慢の毎日を送っているのも
主人公とまったく同じです。
この16歳の娘と14歳の息子といっしょに、この映画を見ました。

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Jennyの家は、典型的な中流階級で、
父親が口やかましく節約して暮らしながら、
娘の将来のために、教育に精一杯投資している。

私立女子校に恐ろしく高い学費を払い、
(今同じような女子校に通うと一年の学費が200万円、
中学からの7年間で1400万円!!、小学校からだったら2000万円!!)
チェロを買って楽団に通わせるのもみな、娘をOxfordに行かせるため。


イギリスでは、Oxford とCambridgeは、特別な大学で、
Oxbridgeに行けば、一生特別なステータスを得られる(ことになっている)。
この2つの大学が本質的に特別に他大学と違うかは議論が分かれるけど、
社会的に特別な存在と、多くの人が感じているのは事実。


Jennyのパパは、経済的に窮屈で、自信のもてない中途半端な中流から、
裕福で自信に満ちたUpper Middleの世界に娘を送り込みたくて、
その手段として、Oxfordに娘を進ませようとしている。

中流階級は、イギリスでどんどん増えてきたホワイトカラーの家庭だけど、
経済的はなかなか苦しくて、プライドと経済力のバランスが中途半端。
ジェーン・オースティンの時代の娘は、階級の壁を登る方法は
結婚しかなかったけど、
1960年のイギリスでは、教育こそ聡明な女性のオプションだったわけね。

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ちなみに、現代は、上流階級とセレブリティが、
リッチでゴージャスな生活をしているという点では、(外から見る限り)
かなり近い社会グループに思われるのですが、
中流以下からこの世界に入る道は、ずいぶん増えた。

サッカーの花形選手(とその妻のWags)や、有名シェフに、俳優たち、
そして、ビジネスで成功しリッチになったスーパービジネスパースンたち。
野心のある子どもたちは、それぞれ自分の得意分野で、
階級の枠を跳び越そうと、奮闘する。
ティーンがあこがれの世界に飛び出したいのは、今も50年前も同じ。

パパの期待にこたえて、
Jennyは、英語の専攻でOxford に合格することが当然と期待される優等生で、
Scholarshipをもらっているのは確実だ、というのは我が家の一致した意見。
私立の学校で、勉強、スポーツ、音楽で奨学金つきの学生になるのは、
金銭的なメリットもあるし、それ以上にステータス。
その代わり、学校からの成績、品行に対する要求もなかなか厳しい。
息子の分析では、JennyはTeacher’s Petだよね、とか。

一方、JennyをひきつけるDavidは、
裕福なUpper Middleの家庭に育ったのかな、と思わせる雰囲気がある。
美術の鑑識眼があって、フランス語もうまく、
華やかな場所でも世慣れて、ウィットの利いた会話で人をひきつける。


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我が家では、Davidと友達のDannyは金持ちの家に育った、
どら息子の、Rebel(はみ出しもの)という設定なんだということで意見が一致。

イギリスのUpper-Upper Middleの金持ちの家に生まれた息子たちは、
極め付きに高価な寄宿舎つき有名私立に入り、(Eton, Harrow, Rugbyなど)、
そこからOxford やCambridgeに行くよう万全の手をつくすのが、
お約束の進路。

彼らを見て思い出したのは、イギリスの新首相David Cameronの逸話。
彼は王室の血をひく、裕福な家庭の生まれで、
EtonからOxfordで学んでいるのですが、
Eton時代にマリファナを吸って、学校から処罰されました。

Davidは処罰で済んだのですが、
このとき、マリファナの売買にかかわっていた学生は、
退学させられたそうです。
新首相のEton時代のドキュメンタリーを
最近家族で見たばかりだったので、
このEtonを退学になった学生とAn EducationのDavid とDannyが、
イメージが重なると、また家族の意見が一致しました。


DavidがJennyに対して、
「僕らは君みたいにCleverではないから、
他のやりかたでCleverにならないといけないんだ」、
とやさしくささやきながら、彼の仕事を正当化するのですが、
このシーンをみていて、金持ちでOxfordに進むように期待されながら、
その道に居場所が見つけられなかったコンプレックスを、
Davidがもっているように感じました。

それにしても、彼のJennyに対する気持ちって、複雑。
若いJennyを誘惑して自分のものにしたいとか、
Jennyを飾り立てて、大人の世界につれて行くのを楽しむのは
わかりやすいけど、それだけじゃないと思われる。

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Oxfordに旅行に行って、Jennyにソフトに接しながら、
Oxfordの教授を親をだますダシにつかったり、
親を裏切る共犯者になるようにしむけたり、
自分が果たせなかったOxfordへの道を進むJennyに、
複雑な気持ちが込められてそう。

JennyにOxfordの道をつまらないと教えて、
自分の世界に引き込むのが、面白かったのかな、
それとも、彼は彼なりにJennyを愛していたけど、
ただ、弱くて、逃げてしまったのかな?

それに、あのバナナのシーンは台詞どおりの意味なんですかね?
私にはどうも意味不明でした。
もしかしたら、Davidはいろんなコンプレックスがまざった、
ものすごく複雑な人なんでしょうか?

これは、以前に感想を書いたOxbridgeを目指すティーンの男の子を描いた映画、
The History Boysの女の子版とも言えます。
ただ、The History Boysが田舎の公立男子校の物語なのに比べ、
こちらはロンドンでも裕福な郊外の私立女子校が舞台となり、
階級の違いとか、大学へのアプローチの違いを比べると面白い。

やや哲学的なThe History Boyとは違い、An Educationは、
難しいことを考えずに、素直に楽しんでも面白いけど、
いろいろつっこんで考えても面白いと思いました。

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コメント

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見逃してしまいました。

Dillさん、こんにちは。おひさしぶりです。
日本での公開はミニシアター系だったのですが、見逃してしまいました。「17歳の肖像」というタイトルが良くなかったですね。なんか軽い映画のような気がしてました。終わってしまって内容を知って、見逃した事がとても残念に思っていました。

先日かから、このDVDをAmazon UKで買おうかどうか迷っていたのですが、偶然Dillさんのこの記事を見て断然見たくなりました。やっぱり買おうと思います。日本でDVDになるのはまだまだ咲きの事でしょうし。

詳しいご紹介ありがとうございました。



Re: 見逃してしまいました。

こちらこそ、お久しぶりです。

「17歳の肖像」って、微妙な名前ですね(笑)。

この原作は、「辛口ジャーナリスト」の女性のメモワールだそうで、
そこで、彼女はかなり辛らつな描写をしているらしいです。
それでも、この経験がものごとを疑うことを教えてくれて、
その後の彼女のジャーナリストとしてのキャリヤにとても役立ったとか。

Amazonでの評価が高いこの原作が読みたくて(でも読むのが面倒で)
Amazon UKでAudio Bookをオーダーしちゃいました。
楽しみにしているんです。
聴いたら、ご報告します。

katakuriさんのDVDの感想も楽しみにしてますね!



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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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