英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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大好きだった母が亡くなり、妻を失って失意に沈んでいた父親は、
共同経営者にまで資金を持ち逃げされ、破産状態に近いBastable家。
毎日ずっと外に出て、疲れて帰ってくる父を見ていて、
6人の姉兄妹弟は、子どもだけで宝探しをして、家を救おうと相談します。


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一番小さい8歳のOHから、そろそろ大人に近づきつつあるDoraまで、
学校には通っていないので、毎日時間はたっぷりあります。
お父さんは、学校はちょっと休暇と言っているけど、
実は学費がないんだな、と子どもたちは察しているし、
銀器など、家中のきれいなものも、ことごとく消えてしまいました。

どんどん貧乏になっていくのを、なんとかしたいと、
6人は毎日、金儲けのアイディアを相談をしては、
知恵を絞って、計画を立てて、実行に移します。

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6人が考え出す金儲けの方法は、
それぞれの年や個性を反映して、宝堀りから、探偵業、怪しいビジネスまで、
多種多様ですが、運命を変えるような宝は、なかなか手に入りません。

The Railway Childrenで有名なネズビットが、40歳台になって、
初めて書いた子どもの本で、110年前、ビクトリア時代の終わりの話題作。
子どもの目で、子どもたちの生活の中の冒険をリアルに描いて、
新しい世界を子どもの文学に作り出した、と歴史的に高い評価を得ています。
ナルニア、ホビットから、ハリー・ポターまで、
その後の児童文学の多くの傑作の先駆けとなったそうです。




私も聴いていて、子どもたちの思いや願いが生き生きと感じられ、
チャーミングな物語で、好きでした。
いかにもありそうな宝探しから、はちゃめちゃなアイディアまで、
子どもたちが、精一杯工夫をして、その熱心さと率直さで、
まわりの大人を戸惑わせながらも、心を動かしていく様子が、
子どもの目を通したユーモアで語られ、ほほえましかったです。

冒険はするものの、お行儀が良すぎるところがあったり、
いつも、結局はやさしい大人に助けられるところは、
ビクトリア時代の物語だな、とは思うけど、
その古めかしさの中にも、あの時代の子どもたちの素顔が、
のぞいている気がしました。

朗読は、LibriVoxでたくさんの本を読んで下さっているKaren Savageさん、
いつものように、ちょっと早めだけど、軽やかな朗読で
少年が語る、兄弟姉妹の冒険物語にぴったりでした。
16話で、4時間の朗読です。


LibriVoxへのリンクはここ


この物語には、Penguin Readers Level2のGRもあります。
日本語訳は、「宝さがしの子どもたち 」です。



同じ作者のThe Railway Childrenも、
Karenさんのソロで楽しめます(感想はこちら


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以下、ちょっとイギリスについての雑談です。


インターネットでさらっと他の読者の方の感想を読んだら、
貧乏になったと言っても、それなりの生活をしている子どもたちが、
宝探しをして、まわりの人に迷惑をかけたりして、
やや共感しにくいなぁ、という感想がいくつかあって、
あの頃のイギリスの階級について考えてしましました。


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イギリスに住んでみて、今でも階級意識ってあるんだな、
と思うことがしばしばありますが、
ビクトリア時代までのイギリスの階級意識って、
すごく重い行動規範だったろうと思います。

貴族の称号があるような、雲の上の上流階級と、
毎日の生活に追われて、労働に励むWorking Classは
はっきり分かれてわかりやすけど、
中流は、微妙に難しい階級だった。


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中流階級も、Upper Middle Classと Middle Classに別れています。
このUpper Middleが、日本の感覚のお金持ちで、
ゆったりとした生活をして、子どもを私立学校に通わせ、
イギリスの知識階級の中核を作っているように思われます。

ビクトリア時代までの物語は、このクラスの人たちが、
中心的な登場人物になることが多いのですが、
彼らは、Upper Middle Classの矜持があって、
特に子どもの文学では、
小さいLady とGentlemanとしてのモラルをもつことが大テーマ。

でも、このUpper Middleは、金銭的な余裕があることが必要で、
そのお金がなければ、Uppder Middleの生活ができません。
クラスにふさわしい付き合いもできないし、
子どもたちを、"ふさわしい”友人たちがいる学校に通わすこともできない。



実は、このUpper Middleにふさわしい学校というのが、
イギリスでは、恐ろしく学費が高いのです。
今でも、有名私立中高校は、一年300万円ぐらいの学費がざらです!
寄宿舎に入ると500万円ぐらいもかかってしまいます。
6人子どもがいたら、単純計算では学費だけで、
一年、1800万円から3000万円??
この主人公の6人姉兄妹弟が、学校に行けないわけです。

だからと言って、
ロンドン郊外に住むこのUpper Middleクラスの家族は、
Working Classの行く公立小学校に行くわけにはいかないのでしょう。
話す英語も、価値観もまったく違うのですから・・・

そういえば、Jane Eyreの作者、Charlotte Brontëは
ネズビットより40歳ぐらい年上ですが、
父親が牧師でUpper Middleとしては経済的に苦しかったので、
学費の安い寄宿学校に3人姉妹を学ばせたのですが
学校は衛生状態が最悪で、愛情にも乏しく、2人の姉が
栄養失調のような状態で亡くなってしまったのでした。
(その記事はこちら
Upper Middleにとって、特に経済的な余裕がない家庭にとっては、
子どもの教育は、頭痛の種だったに違いありません。

Jane Eyreを読んだときも、Charlotteの伝記を読んでも
Uppder Middleクラスってなかなか窮屈で、
お金がないと生きづらいなぁ、と思ったものでした。
(Jane Eyreの記事はこちら

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しかも、この時代、同じ階級でしか付き合わないのですから、
快適な自宅で、コックが作る上等の食事でもてなしたり、
季節にあわせて、旅行に行ったりする経済力がなければ、
友人関係も、とだえがちになっています。

そうそう、あの時代のUppder Middleのドレスもスーツも
かなりの値段がしそうですしね…

多分、ビクトリア時代までのUpper Middleにとって、
Lady や Gentlemanとして生きるというのは、
とても大切な価値観で、それを失うのはひどく恐ろしいことだったろうと思います。

日本の徳川時代の武士が、その身分にこだわり、
武士らしく生きることが、とても大事だったのと、似ているかもしれません。
でも、質素さや質朴さに、ある種の美徳を見た武士とは違い、
イギリスのUpper Middleクラスは、
経済力がなければ、どうにも生きにくい・・・

だから、この物語の子どもにとって、
学校にも行けなくなり、家がどんどん貧乏になっていくのは、
このままでは、お先真っ暗という、かなり深い影が
あるのではないかな、と思います。
お菓子やおもちゃを買うお小遣いが欲しい、
ということもあったでしょうが、年上の子どもには、
それ以上の切迫感があったろうと思います。

そんなことを思うと、この物語の子どもたちは、
ずいぶん暗い状況ながら、自分たちでその窮状を変えてやろうと、
果敢に未知のことに挑戦する覇気はあるし、
ユーモアをもって失敗を笑い飛ばしているし、
なかなかやるな、と思いました。

コメント

面白そうですね

Nesbitの著書は、『砂の妖精』しか知らなかったのですが、この物語も面白そうですね。そのうちに聴きたいと思います。
ここのところ忙しくて聴くスピードが落ちているので、どんどん聴くものがたまっていき、嬉しいような大変なような…。
Dillさんの書かれたイギリスのUpper Middle Classの話は、たいそう面白かったです。自分が住んでいたころは自分が中学生だったので、そんなことはまったく気にしなかったのですが、当時の駐在員の子ども達は現地のPrivate Schoolに通うのが普通でしたね。周囲の子ども達はMiddle Classだったのでしょうか。
話は変わりますが、日本の新聞に真っ白に雪化粧したグレートブリテン島の写真が載っていました。かなり寒そうですね。どうぞご自愛ください。

とっても楽しいですね!

 Dillさん、こんにちは。
 あまりにもおもしろく、聴きやすくて、一気に6章まで聴きいってしまいました!(恥ずかしながら、普段は10分も集中していられません)
 子供たちの会話が生き生きとしていて自然で、古さを感じないですよね。
 ところで、一章を聴いていた時に気になったのですが、「Shut up」はどれくらいbad wordなんでしょうか?
 うちの子供たちの中では f-word や b-word と同じくらい悪いらしいのですが、私は「それくらいいいんじゃないの?」と思っています。
 そのうちティーンになったら、友達とじゃれあいな がら使ったりして、それはそれで楽しい会話なんじゃないのかなぁ。

Re: 面白そうですね

ええ、冒険系がお好きそうなsunsetさんには、ぜひお勧めします!

私のまわりでも、日本の駐在員は、こじんまりした私立を選ぶ方が多いです。
一クラス10-15人で、きめ細かいですものね。
誕生日パーティーなど華やかだったし、アクセントを聞いていても、
Upper Middleほどのお金持ちは少なくても、Middle Classではあると思います。

そうそう、息子の友人のままは、スリムな美女のパキスタン人で、
私の憧れですが、ある初夏の日、息子さんを我が家に迎えに来て、
おかげさまで買い物に行けたわ、ありがとうと買い物を見せてくれました。
靴から帽子まで、アスコットに行く服をひとそろい買ったそうです。
おお、イギリスのお金持ちだ!と妙に感動しました。

雪がふると、朝はきれいな景色にうっとりしますが、
交通がすぐマヒするので、こまります。

Re: とっても楽しいですね!

hinajiroさん、その感じ、私もあります。
Audio Bookって、のってしまうとあっという間に進みますよね。
私の場合は、そういう時は掃除もぐんぐん進んで、なおうれしい。

「Shut up」…そういえば、聞いたことがないですね。
Quiet!なら子どもがらみで良く聞くし、Quiet Pleaseなら大人同士ですよね。
多分、「黙れ!」という威張ったトーンが、Bossyでいけないのでは?
親分が子分に命令するみたいな、きつさがありますよね。

今おきだしてきた息子によると、
ムードが悪い時には使うそうです。
先生が、”shhhhh....”と言っても、みんながおしゃべり続けていると、
Shut up!とゴツンとくるそうですよ。

こちらも聴きました!

ふたたびもつこです。

こちらも聴きました。さっそくご紹介くださってありがとうございます!

宝探しようと、ときどきはちゃめちゃなことをやってしまう兄弟姉妹たちですが、なかなかアイディア豊富で商魂たくましく、がんばって生きてますね!お母さんがいなくて、お父さんも不在がちだというのに。
ラストも幸せでよかった!
楽しく聴きました。続きの Would be goodもきのう聞き始めたところです。

それにしてもこのほかにもいろいろNesbitの本をご紹介くださっていますが、ほんとにいろいろあるんですね。Dillさんのおすすめ、少しずつ手にとってみたいと思います。

では!

Re: こちらも聴きました!

もつこさん、

この話って、子ども向けだけど、でもあの時代の金儲けって、
大人だって、似たようなアイディアしかないんじゃないか、なんて
思いながら聴きました。

ビクトリア時代だと、金持ちに生まれなかったら、
思い切って外国に行って植民地でひとはた上げるか、
今までにないビジネスをするぐらいしか、
突然金持ちになる方法がなかったかも。

Would be good、どうですか? 私も聴いてみようかな。

そうそう、この物語は、彼女自身の子ども時代の思い出から生まれて、
私が昨日行った村が、彼女が子ども時代にすんでいた家です。
そういえば、お隣にちょっと大きな金持ちそうな家がありましたよ!

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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