英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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アフリカ中央部の国・ルワンダでは、
1994年、たった100日間で80-100万人が殺されました。
民族対立が原因の、同国人による大虐殺でした。
その時、1000人以上の難民を外資系ホテルに匿って救った、
ルワンダ人のホテル・マネージャーの自伝です。

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ルワンダのごく普通の、貧しいけれど家族の愛情に満ちた農家に育ったPaul Rusesabaginaは、
Power of words - 言葉の力を学ぶことで、人生を切り開きました。
少年のころは、学業の合間のペンキ塗りの値段交渉のうまさで。
高級ホテルで働き始めると、クレーム客の対応の良さで頭角をあらわし、
マネージャーとなってからは、影響力のある、外国人やルワンダ要人と
言葉を交わしながら、幅広い人脈を作り上げることで。
武器はもたない、言葉を使って戦う、それがPaulの信条でした。


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人口の10人に一人近くが、たった100日の間に殺された大虐殺もまた、
言葉の力を巧みに利用したものでした。
大統領の暗殺をきっかけにして権力を奪取したグループは、
ごく普通の人を、ラジオ放送を通して、言葉で民族の憎しみをあおって洗脳し、
隣に住む異民族を殺すように駆り立てたのです。

Paulは1000人を守るために、思いつく限りの、
国内、国外のつてを頼って、電話をかけまくります。
水や食料を手に入れ、
何度も計画されたホテル襲撃計画を阻止し、
全員が安全な場所に脱出できるように。
武器をもたないPaulは、言葉の力で渋る相手を説得します。

アフリカのシンドラーとして、Paulの経験をもとに作られた、
2004年公開の「ホテル・ルワンダ」がアカデミー賞候補になって注目をあび、
彼は一躍時の人になりました。 彼を英雄として称える人を前に、
自分は「普通の人」だと、率直にしかし力強く、
普通の人がこの大虐殺で何を経験し、何を考えたかを書いたのが、この本です。

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Paulが言葉に強い感覚をもち、相手を説得するシーンは、
非常に印象的です。
憎しみを駆り立てることも、人生を切り開き、絶望を抜け出すのも、
どちらも言葉の力だ、と彼は言っています。

この本自体も、シンプルながらイメージが鮮明に伝わる言葉で、
彼の言葉に対する信念を感じる、いい英語だと思いました。

もうひとつ、彼が繰り返し訴えたのは、国際社会の無関心。
ルワンダ人が自らは救いようもない悲劇に逃げ惑っている時、
UNや国際機関は、一斉に避難し、虐殺を止める努力はほとんどしませんでした。
見てみぬふりをした旧宗主国ベルギー、
虐殺を推進した政府と関係をもっていたフランス、
そしてUNに不介入を働きかけたアメリカ。

今、イラク、アフガニスタン戦争に疲れたイギリスにいて、
独立国の内政への介入には懐疑的な気持ちですが、
絶望的な状況にいる人の介入を求める叫びを聞くと、
この問題の難しさを、少しだけわかったような気がしました。

実はこの本、中学生の息子が来学期に勉強する本として、
教えてくれました。
日本の国語もそうですが、中学の英語の授業の教材として読む本は、
噛み応えのある力のある作品が多く、息子や娘が勉強する本は、
私もできるだけ読んでみるようにしています。
私ひとりでは決して選ばないような本ですが、感銘しました。

読んでいるのは、Ben Onwukwe, TVなどで活躍するイギリス俳優です。
力強い朗読で、このアフリカのアクセントの英語を聴いていると、
私がごひいきの、The No. 1 Ladies' Detective Agency シリーズも思い出しました。
この大虐殺があった国もアフリカ、
あの物語の、のどかでおだやかなボツワナもアフリカ、
今までアフリカをほとんど知らずにいたのですが、
少しだけアフリカを知ることができました。

アフリカ人の友人が以前言っていたことを思い出しました。
イギリス人はアフリカと言えば、飢餓と病気とサバンナと動物しか
思い浮かべないみたいだけど、豊かな文化があって、
美しく、すばらしい人が住んでいる国なんだよ、っと。
彼は、子どもが独り立ちしたら、夫婦でナイジェリアに帰るそうです。
自分の愛する国にもどって一生を終えたい、と。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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