英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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以前から読みたかったこの本が、
LibriVoxのプロジェクトとして進行中なのを見つけて、
完成を待っていました。
さっそく聴いてみたら、味のある朗読で、堪能しました。

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ゴーギャン自画像



画家ゴーギャンの人生をヒントにして、
イギリス人の作家、サマセット・モーム書きました。

ロンドンの証券会社につとめて、
40過ぎまで平凡に生きたイギリス人が、
突然妻子を捨てて、絵を描き始め、
フランスからタヒチまで行き、その地で死ぬまでの半生を、
ゆきずりの知人の目を通して追いかける物語です。

独創的な画風でタヒチを題材に絵を描いたゴーギャンは
フランス人で、この物語よりもさらに数奇な一生を送りました。
Wikipediaにざっと目を通すと、まさに激動の一生。

一方、作家のサマセット・モームの人生も負けずに、波乱の一生。

フランス在住の、弁護士と、社交界の花形の
裕福なイギリス人の両親のもとに生まれながら、
10歳で孤児となって、イギリス・ケントの田舎町で、
牧師をしていた叔父に引き取られます。 

私立学校の名門、カンタベリー・キングス・カレッジに入学するも、
イギリスの寄宿学校になじめず、孤独な青年時代を送ります。
彼を牧師にしようとした叔父とも不仲だったとか。

病気療養でフランス・ドイツを漫遊したあと、牧師にはならず、
医者になる教育をうけながら、文学にふけり、結局作家の道を歩みます。
第一次世界大戦では、軍医として従軍しますが、やがて、本を書きながら、
諜報機関のための活動もして、世界中を旅してまわります。
流行作家として有名になり、45歳で書いたのが、
この「月と六ペンス」です。



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「イア・オラナ・マリア」1891年



この本の評論を探して読むと、
ゴーギャンの人生に重ね合わせて分析されることが多いようですが、
私は素直に、社会が求める人生にあわせて、自分を押し込めて生きてきたイギリス人が、
自分が生きるべき人生を、一人きりで生きていく物語として読みました。

イギリス人の人生って、生まれとか、階級とか、きっちり枠組みがあって、
その枠をなかなか外れられない、けっこうな重圧が、今でもあると、思います。
自分の本質を隠して人生を送っている、と感じるイギリス人って、
少なくないような気がする。
特に、この本の出版は、1919年。
イギリス社会の息苦しさもひとしおだったのでは。

でも、自分の本質を追い求める人生も、生きづらい。
南の楽園で絵を描いて、死後は歴史に残る大画家になったとしても。
「私」も一貫して、彼は幸せだったのか、と彼のまわりの人に尋ねつづけます。

表現は難しくないけれど、イギリス、フランス、タヒチと、
登場人物や風景の描写が、イギリスを離れるほど、生き生きとして、
一生、旅を住処としたモームらしい。
タヒチに舞台を移してからは、南国の植物の濃厚な匂いも香りそうな。



G3.jpg


不可思議な男の人生を、20世紀初頭のイギリスを出発点にして、
異国の果てまで追っていく物語って、
以前読んだ、カズオ・イシグロのWhen we were orphans (ここ)を、
強く彷彿させました。 物語りの匂いが、どこか似ている。

LibriVoxでは、11月28日に、この本の朗読の2つのバージョンが同日登録されました。
私はソロを聴きましたが、朗読をしてくださっているTermin Dyanさんが、
Alan Bennettを思い出させるような、やや飄々としたイギリス英語で、
イギリスの中流階級の主人公の回想物語に、ぴったりです。
イギリスでは英語を聞くと階級がわかるとよく言われますが、
彼の朗読は、私には、大学の先生などをイメージさせました。
娘は聴いて、Posh(上品という意味で、良くも悪くも、ニアンスがあります)だねぇ、と言ってました。
私には耳に快い朗読でした。

LibriVox Moon and Sixpence ソロ

コメント

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初めまして

初めまして。こんにちは。
ブログ訪問者のリストから辿りつきました。
LibriVoxを今まで知らなかったので今度ゆっくり聞かせていただきたいと思います。(英語、苦手なんだけど…)

Moon and Sixpenceを読むにあたり、ゴーギャンを考えすぎてはダメだというのは大賛成です。ゴーギャンが実在しているだけに作品が見えなくなってしまうように私も思います。

ただ、ゴーギャンの作品を考える逆のバージョンでは、本物の絵を見ることが出来ない人にとっては感受する助けにはなるのではないかと期待しています。

文学は生き物ですね。

浮々草 さん

遊びにきてくださって、うれしいです!

Moon and Sixpenceの記事が面白くて、うなずくことも多いし、
コメントを書いたのですが、拒否されてしまいました。
罪のない言葉しか使っていなかったので、何でだったのでしょうね~?
それが、おもいがけずコメントをいただいたので、うれしさもひとしおです。

ところで、タヒチ。 赴任されていたのですね、行きたいなぁ。
本を読んで、浮々草さんの紹介も読んで、モチベーションは高まったのですが、
遠いですね。 特にイギリスからはすごく。 いつか日本に帰ったらですね。

田辺聖子の本の感想なども、なつかしかったです。
また遊びにうかがいます。

もしよければ

こんにちは。
お陰で我がブログにコメントがしにくいことがわかりました。
お任せのワードフィルターはだめですね。教えていただいてありがとうございます。
イギリスに今、お住まいですよね?
実はすごく古いものですが日本の文庫本なんかがあります。文字の好きな人にはそれでも活用していただけるのではと思い、失礼なことなのですが、私はフランスにあまりにも荷物が増えすぎていますので一部差し上げます。
再度、隣のメールフォームからメールしますね。
メールフォームを使ったことがないので不安なのでここで一度書いておきます。
もし、メール送信に失敗していたら私のブログになんでも良いので書き込んで下さい。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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