英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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「小公子」の余韻が残って、懐かしさついでに、「小公女」も聴きました。
小学生の頃に読んでよく知っているつもりだったけど、
聴きなおすと、また惹き込まれる、魅力的な本でした。


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Illustration by Ethel Franklin Betts, NY 1917

「小公女」では、前半の華やかなシーンをよく覚えていたのですが、
聴きなおすと、屋根裏に追いやられ、お腹をすかせたセーラが、
じめじめと濡れて凍えた冬のロンドンをとぼとぼ歩くシーンや、
火の気のない冷え切った屋根裏部屋から空を見上げるシーンに、
断然気持ちが引き込まれました。

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セーラやベッキーが、賢くて、辛抱強いのに、どうも大人が不用意で、
情けないんですよね。 
セーラのパパは、夢見がちで、実用的なことにはうとかったんでしょうねぇ…
こんなひどい寄宿舎に娘を預けて、
しかも信頼の置ける後見人も頼んでおかなかったなんて!


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日本語の、「小公子」や「小公女」ってうまい名前だなぁと感じ入り、
どんな人が考えたのだろう、と興味のままにインターネットで見てみました。
この本が明治時代から日本人に読まれて続けてきたことがわかり、
面白かったです。 

「小公女」を初めて日本語に訳したのは、明治時代の若松賤子でしたが、
翻訳の途中で、結核で32歳の若さで亡くなってしまったそうです。
若松賤子こそ、「小公子」を日本に始めて紹介し、「小公子」という名まえをつけた人で、
この作品を美しい口語の文に直して、傑作として文壇に賞賛され、
出世作になったそうです。

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彼女は、明治時代の魅力的で進歩的な女性です。
会津藩士の娘で、戊辰戦争で一家離散、養女となって、
アメリカの女性宣教師のもとで7歳から英語を学びながら、養家も傾き、
その宣教師にかわいがられて彼女が創設した、フェリス女学館の前身の学校を
一回生として卒業、成績優秀で、母校の先生となったそうです。 


彼女の人生って、セーラとかぶるところがあって、
翻訳していて他人ごととは思えなかったでしょうねぇ。
このページに紹介された詩が、彼女の凛とした人柄を伝えます。
若松賤子の「小公子」、「小公女」の日本への紹介は、明治30年代、日露戦争の前の時代です。


時代は下り、1927年、昭和2年に、菊池寛が文芸春秋社から出した
小学生全集に、菊池寛自身の翻訳で、「小公女」、「小公子」が収められました。

Book2.jpg Book3.jpg


菊池寛によると、

小学生全集に就て(再び) 青空文庫より
小学生全集について、先月も書いたが、今月も少しかきたいと思ふ。
自分は、とにかく此全集には、全力をつくして当るつもりである。
自分の担当して居る各巻については、一字一句もゆるがせにしないつもりである。

この覚悟で作られた全集のまばゆいばかりの美しさ、
表紙がならんだこのページを見たら、ため息。
初級用 「古本 海ねこ」から  
上級用 「古本 海ねこ」から

この全集のラインアップを見ていると、LibriVoxで聴いて楽しんだ作品がいっぱいあります。
昭和2年といえば、金融不況が襲い、軍靴の響きがつよまっていく時代です。

そんなこんなで、日本の子どもたちは、明治の頃から、「小公子」、「小公女」、
そして「シャーロック・ホームズ」あたりで、はるかな国イギリスに憧れたんだろうな、と思いました。


つい、蛇足を書いてしまいました。

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「小公女」のLibriVoxを見ると、ソロにKara Shallenbergさんと、Karen Savageさんという、
2人のまったくイメージの違う素晴らしい読み手に恵まれた、とても幸福な作品です。
私は、秘密の花園は、Karaさんですごく楽しんだのですが、
今回は、Karenさんを聴きました。
ちょっと早いけれど、透き通ったような声でききやすく、この話にあっていると思いました。
でも、Karaさんの朗読もとても人気があるので、きっと素敵です。

ついでに、Karenさんの、「秘密の花園」のソロ朗読が、
今年の10月19日に登録されているのを見つけました。 これもいつか、聴きたいなぁ。


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コメント

懐かしさ×2です

「小公子」「小公女」、背表紙の文字まで、覚えています。翻訳のさらに、簡略化された本を持っていたのだと思いますが、確かに、素晴らしい題名ですね。子供ながらも、なんらかの雰囲気を感じとってました。
そして、内容もさることながら、Dillさんが、今回紹介してくださったように、日本に入ってきた経緯もまた興味深いものですねえ・・。楽しくなってきました。
紹介ありがとう。

ところで、話は全く飛ぶのですが、近くのお屋敷でのクリスマスマーケット。なんとアリソン・アトリー・ソサエティ関係の方のブースがあって、ちょっとお話して、グレイ・ラビットの絵本を一冊だけ、買ってきました。(嬉!)

Re: 懐かしさ×2です

エコーさん、こんにちは。

私は、たぶん、岩波少年文庫あたりで読んだのだと思います。
この本の表紙はすっかり忘れているのですが、小学校の図書館にならんだ、シャーロックホームズとアルセーヌ・ルパン、そして江戸川乱歩の少年探偵団の背表紙は、はっきり覚えています(笑)

小公子、小公女って、なんだか異国への憧れをさそう名前で、イギリスのイメージを膨らませました。
ちょうど、エリザベス女王のNannyが書いた伝記も読んだので、お城に暮らすって、どんなだろうと
猛烈に興味を誘われたのを覚えています。

>
> ところで、話は全く飛ぶのですが、近くのお屋敷でのクリスマスマーケット。なんとアリソン・アトリー・ソサエティ関係の方のブースがあって、ちょっとお話して、グレイ・ラビットの絵本を一冊だけ、買ってきました。(嬉!)

え! うらやましい。 アリソン・アトリー・ソサエティ、ってあるんですね。しかもブースが出るというのは、日常的に活動しているのですね! 彼女の本って、折々に読みたくなる、不思議な魅力がありますよね。 Country Childの季節描写とか素敵ですものね。 

 この本大好きです!子供の頃当然のように読んだ事がありましたが、すっかり忘れていて大人になった時、A Little Princess を読み引き込まれました。それが子供の頃読んだその本の原書・・・と知ったのはずいぶん経ってからです(笑)
 女の子は誰でもPrincess というフレーズに心打たれますよね。そんな育て方をしたお父様に感動したのですが・・。見方変わればそう、なんでこんなところに預けたのか!ですね。

PBさん

私もこの本、昔好きでした。 セーラのお人形ってどんななんだろう、って
うらやましかったり、屋根を越えて素敵なものが届く屋根裏の部屋に憧れたり、
なつかしい・・・・
パパも素敵で、私もこんなパパがいたらいいのに・・・って思ったものでしたが、
大人になると、違うところに目が行ってしまいました(笑)。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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