英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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Alison Uttleyのうさぎやりすを主人公にした絵本を、懐かしく取り出して読みかえしました。 今は14歳の娘が小さいころ、よく読んだものでした。


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村のはずれの小さい家に3匹の動物がいっしょに暮らしています。 家の用事をきちんとこなして、みんなの世話をしてくれるのは、Grey Rabbit、ちゃめっけがあってちょっとわがままな茶色いリスのSquirrel, そして大胆でいたずら好きのHare。 HareはRabbitより大きい灰色の野うさぎで、野生では、群れずに一匹で暮らしているそうです。

春の夕方、Hareは、うさぎたちの前で陽気に踊っていました。 春の気分に誘われたHareは、村に行ってイースターにどんなものがあるか見てくるよ、と冒険に繰り出します。 村の雑貨屋に行くと、きれいなリボンをかけた茶色いたまごが飾られているのをみつけ、Hare はひとつ、疾風のごとく盗みだしてきます。 落ち着いたところで、茶色いたまごを見てみると、Hareの暖かい毛皮に抱かれて、溶けだして手にくっついてしまいました。 ひと舐めするとそのおいしいこと! あっと言う間になくなってしまいました。 
Hareは、この素晴らしくおいしいチョコレートのたまごを友達にも食べさせてあげたくなり、どうやってたくさんのたまごを手に入れるか、思案をめぐらします。

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この3匹を主人公にしたGrey Rabbitシリーズの最初の本は、1930年代に出版され、イギリスの子どもたちに好評で、Alisonはその後、いくつもの続編を書き、長いシリーズになりました。 
もともとは、一人息子のJohnに話してあげた物語でしたが、Johnが寄宿学校に入ってから、まずは息子への手紙として書かれ、やがて出版されたそうです。

Alisonの子ども時代、農場のたった一人の子どもだったころ、毎日親しんだ田舎の小動物たちが、個性をもって登場します。 賢いふくろう、おだやかでやさしい猫、気のいい鶏、それぞれがなかなか味のある性格です。

この本のイラストは、やや古風で明るくのんびりとして、印象的です。 描いたMargaret Tempestは当時とても人気のあるイラストレーターだったそうです。 初めて本を出版するAlisonのGrey Rabbitの物語に、出版社はすでに人気のあったTempestのイラストをあわせ、絵本としてロングセラーを生み出します。 でも、実は、この時設定された原稿料が、AlisonよりTempestの方が高かったので、誇り高いAlisonは、いささか気分を害し、40年にわたる2人の作家と画家の関係は、どこかギクシャクしていたそうです。

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Alisonの伝記、”Alison Uttley: The life of a country child” (Denis Judo 1986 Michael Joseph Ltd)をDerbyshireの旅行に持って行って、ぱらぱらと読みました。

農場の娘として育ったAlisonは、奨学金を得て、マンチェスター大学で物理学を学び、ケンブリッジ大学にまで進み、友人の兄でやはり物理を学んだJames Uttleyと結婚します。

2人はとても仲のいい夫婦で、ともに詩を楽しみ、幸福な新婚生活をおくったそうです。 ただ、Alisonの農場の実家と、マンチェスターのビジネスマンのUttley家とはあまりにも違ったためか、Alisonは婚家にはどうもなじめなかったようです。
第1次世界大戦に出征したJamesは精神的に不安定になり、ついには川に入って自殺してしまいます。 一人息子と残されたAlisonは息子を私立学校に通わせながら経済的な必要にせまられつつ、作家として自立していきます。 
Alisonは夫を自殺で失った悲しみと、経済的な不安と、そして一人息子を寄宿学校に手放すさみしさと、それらを背景に、このおだやかで、明るい物語を書き続けたのです。

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Alison Uttley 若い母となったころ

この絵本を見ると、小ぶりのサイズといい、服を着た小動物といい、Beatrix Potterのピーターラビットのシリーズを思い出す人が多いと思います。 AlisonはGrey RabbitがBeatrix Potterと比べられるのをとても嫌い、自分の物語は、子ども時代の経験から生またオリジナルの物語だと言っています。

私も、実はずっと、この物語は、Beatrix Potterに似ているな、と思いつづけてきました。でも、今回久しぶりに読んでみて、舞台設定が似ているのは事実だけど、雰囲気は随分ちがうな、という気がしました。 Beatrixの本が、かわいいらしさがありながら、潔癖な厳しさを併せもっているのにくらべ、Alisonの物語は、恐いきつねが出ても、つつみこむような穏やかさがあり、長いシリーズとして多くの作品が読まれた続けた理由もそのおだやかな安心感にあったのかな、という気がします。

ただ、伝記を読むと、Alisonの生涯は穏やかとは言いがたく感じました。
配偶者に早くに先立たれ、家族・親戚とも疎遠になりがちで、孤独を感じながら、強い意思をもって、自分の力を信じ、誇り高く生きた、ダービッシャーの農場の娘でありました。 

この物語は、イラストつきのやさしいお話し集として、岩波少年文庫から4話まとめて出版されています。 石井 桃子さんと中川 李枝子さんの共訳です。

グレーラビット


イギリスで出版されたような絵本は、神宮輝夫さんの訳されたシリーズがあるようです。

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Alison UttleyのThe Country Child

コメント

Dillさん、おはようございます^^
風土や人の感性により、動物たちへの味付けもさまざまなのですね!
わかりやすくまとめられたエントリーを読むと、ますます読みたくなってきました^^
ところで、時の旅人はAlisonさんの作品だったのですね。
別の出版社のものを読んだと思うのですが…
物語がすすむにつれ過去と現在が重なり始めるのが印象的で、恋心を見守りつつラストを迎える淡い印象が残っています^^;
館での風景や生活の細かい描写を想像するのが苦手で、苦労したと思うのですが、今ならDillさんの素敵な写真を含めつつ深く読めるかなーと考えています。
多読のおかげで、少しずつファンタジーと出会います。異空間で過ごした時間と現在との時間差のとらえかたも楽しみの一つですね^^
素敵なお話を有難うございます^^

ぴっちゃんさん、

もう10日も前にコメントをもらったのに、返事が遅くなってごめんなさい! 素敵なコメントくださってうれしいです。
ええ、物語って、風土と人の感性で味付けされるのですねぇ(うまい表現だな~)。 源氏物語が京都の美しさと切り離しがたいように、イギリスの物語も、この国の美しさと離しがたいのだった、とこのごろよく思います。 
時の旅人、読まれたんですね。 ちょっと不思議な物語ですよね。 私も読んで、ちょっと甘酸っぱい思いでした。日本の「時をかける少女」(古すぎ?)を思い出したりしました。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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