英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

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先週はイギリスでは学期の真ん中のお休み、ハーフタームでした。 学校がなかった一週間を、田舎の農場を舞台にした物語を書いた、Alison Uttleyの生家の近くで過ごしました。


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英国の南の端と北の端をあわせて折った時、ちょうど真ん中になるあたり、ロンドンからはかなり北に、ダービシャーがあります。うねうねと低い山が続く丘陵地帯で、ローマの昔は深い森だったそうですが、今では石の垣根に仕切られた牧草地が続きます。


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そんな丘の一つを登ると、400年以上も前に建てられた石づくりの農場があります。 今から100年ほど前、その農場に育った一人娘が、10歳ぐらいまでの生活を懐かしんで書き留めた物語がThe Country Childです。 農場は丘の中腹の一軒家、まわりにはひろびろと、森と牧草地が続き、はるか下に村の家々と教会の塔が見えました。

スーザンの父の家族は、代々200年にわたって、この丘の上の農場で、牛や豚、馬を飼って暮らしてきました。 母は家事に忙しく、石造りの農家は、隅々まで、こすって、磨いて、光らせてありました。 動物の世話に忙しい数人の手伝いが家族といっしょに住んでいましたが、他には子どもはいなかったので、一人娘のスーザンは動物と自然の中で育ちました。

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スーザンの家族は、朝早く、牛乳を絞って缶に入れ、村に送り届けることで一日を始め、大人たちは一日中忙しく、動物の世話、牧草地の手入れ、家事に追われて毎日を過ごしました。 

休息日の日曜には、朝の仕事を終えると、スーザンと母はよそ行きの服を着て、丘の道を大急ぎで下り、教会に行きました。 礼拝が終わると、母は近所の人々と世間話しを楽しみました。 そして、家にもどると、父は襟のついた服を着て、家族で日曜のDinner、焼いた肉と野菜を食べました。 食後の午後、週に一回の休みの時間、父はゆっくりと昼寝をし、母は、客間でのんびりと家庭雑誌を読みました。 
そんな毎日、スーザンは動物に名前をつけて兄弟のようにかわいがり、樹や花や昆虫を友達として暮らしていました。

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7歳になったスーザンが村の学校に通い始めた時、丘を下るうっそうとした森の道を下り、たった一人で毎日片道6キロも歩かなくてはいけませんでした。 森の中では、不気味な形をした樹が動き出してきそうでした。 冬には、学校が終わる頃には、すっかり日が暮れて、暗い森はいっそう不気味で、カンテラをもって歩きました。 

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村の学校は、行ってみると、意地悪でなじめない所で、嫌いでした。スーザンはなんとか学校に行かなくてすむように、森に隠れたりしたほどです。 でも、やがてスーザンは友達との学校生活を楽しむようになります。 イースターに友達をお茶に呼んでもいいと言われた時には、学校中の女の子50人を引き連れて、森の中を抜け、農場に帰って、家族をあわてさせます。

ビクトリア時代の終わりごろの田舎の子どもの思い出が、歳時記のように季節に流れに沿って描かれた、随筆に近い、自伝的物語です。
この時代のイギリスは、都会では近代化が刻々と進み、世界の富を集めた大英帝国ならではの贅をつくした生活がくりひろげられたのですが、この田舎の農場の生活は、古風なままで、勤勉で素朴、そして単調です

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でも、春のイースター、クリスマス、そして実りの秋の感謝祭と、季節の行事に彩られ、このずっと変わらず続いてきたイギリスの田舎の質実な生活が、子どもには驚きにみちて新鮮で、スーザンの目を通して、のびのびとえがかれています。


Derbyshireは緑が濃く、うつくしい森と丘が続いていました。
この土地は痩せていて実りは多くないそうですが、垣根に仕切った牧草地では、羊や乳牛や、赤茶けた牛がゆったりと草を食んでいました。

遠くからみると、垣根が細いリボンのように見え、丘はバッチワークのように区切られ、森に混じって、ところどころは、黄色に輝いていました。私が行った5月は、ちょうど、アブラナに似た、マスタードの花の盛りだったのです。

この田舎の道を車で走ると、100年まえにもきっとこのままの風景だったのだろうな、と思われました。 舗装した道を忙しく走る自動車を、乾いた土の道と馬車に置き換えれば、大木の緑のトンネルと、くねくねと続く緑の丘陵と、幼いスーザンの物語の風景がそのままありました。


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この物語の作者、Alison Uttleyの生家、Castle Top Firmは物語そのままに今でも丘の上に建っているそうです。今も変わらず、農場として使われています。 隣の丘から、あそこのタツノオトシゴのような樹のあたりにFirmがあるよ、と教えてもらいましたが、個人所有と聞き、訪ねることはしませんでした。
Alisonは、弟が、家族が代々住み続けたCastle Top Firmを売ってしまったことを後々まで悲しみ、生涯ダービッシャーを思い続けたそうです。


 
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Alisonは、奨学金を得て、農場の娘としては破格の、ケンブリッジの大学への進学を果たし、ロンドンの南郊の学校で高給の教職につき、華やかな社交生活を楽しんだ後、結婚して作家となります。 グレーラビットシリーズなど、故郷の農場のまわりの自然の中で親しんだ動物を主人公にした子どもの絵本は、今でも、イギリスの図書館には必ずあるベストセラーです。



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岩波少年文庫からは翻訳も出ています。 

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コメント

飛んでゆきたいです!

Dillさん、おはようございます^^
緑あふれるカントリーライフ、爽やかな空気をいっぱい吸い込ませて頂きました。
都会の便利な生活とは別の魅力が詰まっていて、
本当に素敵ですね。

水、空の広さ、大木、穏やかな空気…
ツボをつかれた記事をみて飛んでゆきたい気分です^^

Alisonさんの可愛らしい動物たちを育む森。
Dillさんの記事のおかげで、また読みたい本が増えました(笑)
素敵なお話を有難うございます^^

ぴっちゃんさん、お久しぶりです!
うん、私もこの田舎にとてもひきこまれました。
この本は、ストーリーがあまりなくて、風景の描写と細かい思い出がつまっているので、私は英語ではなかなか読み進められませんでした。でも日本語は読みやすい訳で、なかなかお勧めだと思いました。もし図書館にあったら、ぜひ手に取ってみてくださいな。
京都はもう梅雨の季節でしょうか。

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Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

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