英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
by Eleanor Farjeon

英語で読んでも、日本語で読んでも、
楽しく、香り高い、短編です。


elsie.jpg



Elsie Piddockは、イギリス・サセックスの村に生まれました。
家の前の細道で、小さな女の子たちが、
シュッ、シュッ、ピタパタ、ピタパタと、
縄とびをする音を聞くのが大好きでした。
3つになると、縄とびのつなをほしいとねだったのですが、
小さすぎると、作ってもらえませんでした。



nawatobi.gif
Illustrated by Isobel and John Morton Sale 
(1937年初版本より)


その晩、おとうちゃんとおかあちゃんが寝静まったころにおき出し、
Elsieはおとうちゃんのズボンつりを使って縄とびをしてみました。
目をさました両親は、寝巻きすがたのElsieが
ズボンつりに足をからませるまで跳びつづけるのをみてびっくり。

生まれながらの縄とび上手、と
翌日には、おとうちゃんが縄跳びを作ってくれました。
その日、Elsieはごはんも食べずに一日縄とびをしました。
そして夕方には、一ばん縄とびのじょうずな子といっしょにとびました。
5つになるころには、村のどの子もとび負かすことができました。

あんまり上手なので、フェアリーの「縄とび師匠」が、
フェアリーの縄とび競争に、Elsieをよびました。
ここでもElsieは、フェアリーの誰よりも上手に縄とびができました。
感心したフェアリーの師匠は、Elsieを毎月一度、丘によび、
ありとあらゆる、難しい縄とびの術を教えました。

楽しくて、わくわくとすぐ読めて、
いつまでも心の中に残っているような、不思議な物語です。


作者のEleanor Farjeonは、
素晴らしい子どもの詩をたくさん残した詩人です。
私も、今までに2つ、彼女の詩をご紹介しました。

Cats  (ここ
Snowdrop (ここ) 

そして、昔話のように印象的な物語を書いた作家でもあります。
この小品は、“Martin Pippin in the Daisy Field”という
夢のような物語の中で、少女に語り聞かせるお話しです。
イギリスのStorytellerたちがこの物語を好むので、
独立して小さな本になりました。


石井桃子さんの訳者あとがきにはこうあります。
「なかでも 『エルシー・ピドック、夢でなわとびをする』 は、
著者お気に入りの短篇で、たいへん語るのに適しているために、
多くのイギリスやアメリカの図書館では、
これを子どもに聞かせる 『お話』 として選んでいます。」

イギリスのStorytellerたちに好まれるのは、
短いのに、目鼻立ちのはっきりした展開で、
みずみずしいけれど、幻想的なイメージが広がり、
聞き手をひきつける物語だからだと思います。

ひさしぶりに思い立ってこの本を読み直したのは、
数日前に101歳で亡くなった石井桃子さんが
Eleanor Farjeonをとても好きだったからです。

hinagiku.gif


石井桃子さんは、Farjeonのほとんどの物語を
愛情をこめて翻訳され、岩波書店から出版しました。
特に、10冊のファージョン全集はイラストも素敵で、楽しい本です。

115081S.jpg


イギリスでは、ファージョンの作品は、数冊を除いては、
今ではほとんどが絶版で、なかなか読めない本になってしまいました。
あるイギリスの児童文学の評論によれば、
ファージョンは生前、その魅力的な人柄もあって、とても人気があったけれど、
時間とともに、そっと忘れられつつある作家のようだと書いています。

でも、私は石井桃子さんの翻訳された日本語の全集を読むのが好きだし、
英語で読んでも、素敵な物語だな、いつまでも残って欲しいな、と思います。
これからもちょくちょく、ファージョンについてこのブログで書きそうな気がします。

石井桃子さんが翻訳された「ヒナギク野のマーティン・ピピン」は
きっと図書館にあると思うので、よろしければこの物語を読んでみてください。
「エルシー・ピドック夢で縄とびをする」はほんの10分で読めてしまうような
短編ですが、言葉の雰囲気を大切に訳された、楽しい物語です。

石井桃子さんは、イギリスの名作をたくさん訳されています。
くまのプーさん、ドリトル先生、たのしい川べ、
ピーター・ラビットのシリーズ、グレーラビットのシリーズ、
そしてピーターパンも。
私はどの物語も、英語で読む前に、石井桃子さんの
翻訳を読んで、夢中になりました。

石井桃子さんは、何度かイギリスに来られて、
いろいろな作品の舞台になった田舎を歩かれたようです。

石井桃子全集の第6巻は紀行記が中心ですが、
イギリスに来られて、Farjeonを自宅に訪ね、
サセックスでElsieが縄とびをする丘に登り、
湖水地方に行って、Beatrix Potterの農場を
訪ね、その感想をつづっています。

紀行記を読むと、石井桃子さんは、Farjeionに会って親しみもち、
先輩に対するような愛情と尊敬をもっていたように感じられます。


石井桃子さんが、翻訳された、
イギリス以外の国の絵本や物語の名作については、
えびさんのブログのここをごらんください。
えびさんが並べてくださった石井桃子さんの本の表紙を見ると、
懐かしい本がたくさんあります。

そして、s_numabeさんが書かれた、
若き石井桃子さんについての19回の連載もご紹介します。
はこの記事を、夢中になって読みました。
まさに、きら星にかこまれた石井桃子さんのまわりで、
黎明期の日本の子どもの本は作られてきたのだ、と知りました。


石井桃子さんは101歳で亡くなられたましたが、
この物語のElsie Piddock が、
いつまでもサセックスの丘で縄跳びをしているように、
石井桃子さんも、
いつまでも、イギリスのどこかの田舎の村で
プーや、Peter Rabbitや、ドリトル先生と
おしゃべりして、くすくす笑いをしているような
そんな想像をしてしまいます。


tanpopor.gif
Illustrated by Isobel and John Morton Sale 
(1937年初版本より)

コメント

Dillさん、こんばんは。

Dillさんのファージョン紹介記事、すごく素敵ですね。
冒頭のElsie Piddockの話に、ぐぐっと引き込まれてしまいました。
ピピンの細かいところを忘れてしまっているので、これは読まなくちゃ、と焦ります。

石井桃子さんとファージョンって、実際に面識があったのですね。実際に作家さんの人柄を知ると、翻訳には力が入ってしまうことでしょうね!

アトリーの「西風のくれた鍵」という作品は石井さんと中川さんが、お2人で翻訳にあたられたそうで、石井さんがあとがきで、「(2人の翻訳作業は)音楽の合奏のようで、とても楽しかった。」と書いていらっしゃったのが、印象的でした。
石井さんの本のあとがきって、いつもとても素敵で、ついついあとがきを読むのが楽しみなんですよね。

まだまだ読んでみたい本がたくさんあって、時間が足りませんね!
Dillさんのこれからのファージョン紹介記事、のんびり楽しみに待ってますー。

えびさん、

私も、ピピンを今日日向ぼっこをしながら、読み直してました。 今さらながら、石井桃子さんの言葉の感覚って、鋭くて、きれいですね。 

へ~、2人で合奏のように翻訳するというのも、いいですねぇ。 アトリーのそのお話し知らないです・・・素敵ですか? 

今日は、本当にイギリスらしい天気でした。
さんさんと日が照る春日和から、突然の雨、空が真っ暗になり、風がビュービューふき、やんだと思ったら、カラカラと雹がふってきて、おまけに雷までごろごろなり、雨宿りに入ったら、あっという間に、明るくなってきて、穏やかな小春日和にもどりました。 この七変化が、1時間のうちにおきました。 
石井桃子さんのイギリス紀行でも、何度もお天気の変わり身の早さを書いていらして、ほほえましかったです。


コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corianderuk.blog80.fc2.com/tb.php/119-1b660826

名前:
メール:
件名:
本文:

Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。