英語で本三昧

英語の朗読を聴いて楽しんでいます。 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
イギリスの寄宿学校で学ぶ7歳のTollyは、
父・義母が遠い海外に住んでいて、
いつもは帰る家のないさびしい休暇ですが、
このクリスマス休暇、初めてひいおばあさんの家に行きます。


Greenknewe.jpg




大雨で、庭に流れる川から水があふれ、一面が湖のようになった中、
数百年も古い石の家が暗闇の中で暖かい光をたたえ、
年とったMrs OldknowがTollyを待っていました。
ひいおばあさんが一人住まいのこの家は、
ひっそりしているのですが、やがてTollyは
家のあちこちで、たくさんの仲間を見つけます。

まずは、古い木馬、日本のネズミの彫り物、
にぎやかに遊びにくる野生の鳥たち、
庭のイチイの木で作った動物と、生きた小動物たち、
そして、Linnet、Toby、Alexanderの3兄妹・・・

Mouse2.jpg
この本のイラストはBoston夫人の息子さんの画です・日本のねずみの彫り物




クリスマスを迎える田舎の屋敷を舞台に、
Tollyが、おばあさんの生き方にひきつけられ、
「家の記憶」の世界に入り込んでいく物語です。





昨年古い子どもの古典を読んでいて知り合った、
LothlórienのKikiさんと
いっしょに読むことにしたこのシリーズ、
私にとってはいつかじっくり読み直したい本でした。

それで、読んでよかった! 
こんな本だったんだ、昔読んだ時は、
何を読んでいたんだろうというほど、
新鮮に楽しかった。

主人公のひいおばあさんは、とても年をとっていて、
立つとびっくりするほど小さく縮んでしまっているし、
顔にもしわがいっぱいだけど、
Tollyとすぐに仲良くなって、意気投合します。

このMrs Oldknowが、
作者のBoston夫人と重なりあって、
物語を通じて、私は、Boston夫人の存在を感じました。

Boston夫人は、彼女の残したパッチワークでも有名だし
林望さんがたまたま下宿した家の大家さんとしても、
その魅力的な人柄が日本に紹介(この本)されています。
この物語は、彼女が愛した自分の家を舞台にしていて、
彼女が遺した家(ここです)に行くと、
今でも、家も庭も、物語のそのままに残っています。
Boston夫人がこの本を書いたのは、60歳すぎてからです。



gallery_6.jpg
Boston夫人の音楽の部屋・彼女の残した家のHPより




この物語ではどうやら、Tolly以外の家族はまわりにいない、
ずっと一人住まいのOldknow夫人ですが、
人や動物に対して、心はいつもオープンで、
おとずれる動物や人を、心から歓迎して、
まわりを楽しませることを、自分も楽しんでいます。

庭の鳥や小動物と友達になって、
いろいろと喜ばせる工夫をして、それを楽しんでいる。

まわりの物や思い出を大切にして、
その世界を愛おしんで、楽しんでいる。

庭も家も、すみずみまで愛して、
雪が降ればその雪景色を楽しみ、
年老いた庭師とのつきあいも、いい味だなぁ。


Yew.jpg
これがイチイ、英語ではYew


Yew3.jpg
この物語で重要な役を演じる”彫刻”されたYewは、イギリスの庭園でよく見かけます




だから、雪の降る寒い12月でも、
石の家の窓はしょっちゅう開かれ、
外の空気や鳥や動物が、部屋に入り込みます。
これって、窓をあまり開けない、どっちかというと
閉じこもりがちなイギリスの家では珍しいような気がします。

Boston夫人は、1890年代生まれで
あの時代の女性ながら、Oxford大学に進んだのですが、
2年で大学をやめて、第一次大戦の従軍看護婦になったとか。
活動的で、社交的な人だったのだろうと思います。
結婚後18年で離婚してから、
400年の古い廃墟の石の家を買い取り、
キャンプをしながら修理したのがこの家です。

そんな理知的で意志の強い女性が、
子どもたちが独立して、一人住まいになったとき、
こういう生き方をしたのだと、
私には、この物語で、それが一番印象的でした。
私もそういう年になったのですね、はい。

イギリス人が個人主義だというのはよく言われるけど、
子どもたちも、学校を終えたり、大学生になれば家を離れ、
(大学の学費も子どもが自分で借金することが多いし、
学生でも、大学生からは大人扱い)
自分の人生を、一人歩きしていきます。


Stufdent-Protest.jpg
そういうわけで、最近の学費値上げ反対も、学生自身が背負う借金の大きさが大問題



あとは、夫婦でずっと暮らし、
伴侶がいなくて一人でも、
できるだけ一人住まいする人が多いと思います。
子どもたちの友人の家をみても、親と同居している家族は、
思い浮かびません。
近所におばあちゃんが一人住まいという家族は、多いですが。
イタリアやスペインとは、まったく違う。

子どもが、遠い街や海外に住んで、
頻繁に行き来することが難しいことも多いから、
老夫婦だけでも、一人でも、人生を楽しむことが
必要で、だからこそ、
イギリス人は、一年のめぐりを楽しむ庭づくりが好きで、
ペット、とりわけ犬を愛して、
家を大切にして、あちこちこまごまと手をいれて楽しむ。
そんな気がします。


Cottage-Garden.jpg
BBCで今週始まったGardening番組の女性プレゼンターも、子どもは家を離れていると言ってました。



さびしくないわけではないけれど、
子どもたちが独り立ちしたら、
親も子離れをする結構厳しい約束が、この国にはあるように思います。

だからこそ、クリスマスは特別に大切な時で、
離れて住む家族がかなり無理をしても集まって、
贈り物を交換して、にぎやかに祝います。

この物語は、孤独な少年Tollyが自分の家を見つける物語だけど、
6人の子どもを独立させて、それからの人生をひとりで精一杯生きてきた、
たぶん、今は80歳ぐらいのMrs Oldknowが、
ひ孫のTollyを引き取ることで、
家族と暮らす喜びを、もう一度楽しむ物語でもあると思いました。

Tollyとすごすクリスマスを、Mrs Oldknowが
ちょっと古めかしく楽しんでいるのが、
それはもう楽しいですよね。

昔からクリスマスツリーは、森に生えるモミの木を切って、
部屋にもちこんで、飾るのですが、
森の香りがいっぱいにひろがり、気持ちがいいんです。
本物のモミの木は、暖房で乾燥すると、
細かい葉がすぐに落ちてしまうので、
クリスマスの数日前までじっくり待って、飾ります。
いっしょに、ひいらぎ、つた、やどりぎ、木の実も、
森から集めてきて、扉や、暖炉や階段をかざります。
部屋の中に、冬の自然の緑をいっぱい持ち込んだのです。




Chiristmas-Tree.jpg
12月に入ると、街でこんな木がいっぱい売られます


まぁ、今時は、作り物のツリーやリースを飾る家がほとんどですが・・・

夫人が、モミの木を買ってきて、
大切にしてきた繊細なガラスの玉や、松ぼっくりや、星の飾り丁寧に飾り付け、
人工的な電気の飾りをツリーにつけるのは嫌だね、と、
ロウソクにガラスの飾りがきらめくのを楽しんでいるのも、
古めかしくて、いいなと思いました。

それから、この物語は、音楽に満ちていて、
それも楽しい。

登場するクリスマスキャロル3曲は、
どれも私がすきな曲で、うれしくなりました。
とりわけ、Linetteが好きなTomorrow shall be my dancing dayは、
厳かな旋律の多いキャロルのなかで、
珍しく、華やかで、歌詞も一見かわいく(本当は深い宗教的な意味があるらしい)、
数年前に初めて教会でこの曲を聴いたときは、はっとするほど印象的でした。







クリスマスイブの、真夜中の教会のクリスマスミサに、
歩いて通う、そのさえざえとして、凍りつく冬の夜もいい。

イギリスの古いフォークソングの「Greensleeves」も出てきます。





これは、アリソン・アートリーの「 A Traveller in Time」(感想はここ)にも出てくる懐かしい旋律ですが、
あの本も、古い家の記憶の中に少女が入り込んでいく物語、
懐かしい雰囲気も似ています。

似ていると言えば、読んでいて、何度もフィリッパ・ピアスの
「トムは真夜中の庭で」、も思い出しました。
古い家の記憶に引き込まれる物語である、この3冊、どれも、私は好きです。

ところで、もともとは、日本を離れるときに買ってきた、
このシリーズの日本語訳を読みたいと思っていて、
実際日本語で読み始めたのですが、結局途中で、
Audibleから、朗読を購入して、聴いて楽しみました

私はやっぱり、朗読が好きなだなぁ。
本だと、やらなきゃいけないことをあとまわしにしているという、
軽い罪悪感があるのですが(それも本の楽しみですが)、
朗読だと、料理や掃除といっしょに楽しめて、うきうきします。

この朗読をしているSimon Vanceは、端正で深みのある朗読で、
この物語の世界を、うまく表現しています。
最近の大ヒット、Millenniumシリーズも朗読しているので、
かなり売れっ子の朗読者なのだと思います。
ただ、望みすぎかもしれないのですが、音楽を口ずさむシーンで、
やや、音がはずれてしまうのが残念。

教会でAlexanderが歌うソプラノの響きの美しさに、
王様の前で歌うように頼まれるシーンは、
天使の歌声が流れるはずなのですが(笑)。

Kikiさんは、もう2作目3作目も読了で、
その感想を読むのが楽しいんですよね。
kikiさん、どうもありがとうございます!!

私も2作目ゆっくり聴き始めたところです。

コメント

やはりグリーン・ノウでしたか

Dillさん、こんにちは。
読んでいらっしゃるLucy Bostonの本は、やはりグリーン・ノウでしたか。
「Green Knowe」って書くんですね。
題名は知っているのですが、子どもの頃に読んだ覚えがないので、私はまず和訳本から読んでみることとします。なるべく新しい翻訳のものを選んで読んでみますね。
それにしてもBoston夫人の家のなんと素敵なこと。何代にもわたって手入れしながら住み継いでいくイギリスの家って、住むには不便なこともたくさんあるのでしょうが、あたたかで素敵ですね。
あっという間に街並みが変わってしまう日本とは好対照です。

Re: やはりグリーン・ノウでしたか

sunsetさん、そうなんです。
この本は、イギリスファンタジーの中では、
ちょっと有名度は低いけど、熱心なファンのいる
Little Gemという感じのシリーズですよね。

瀬田さんの翻訳が古めかしく感じたのは、
おばあさんとTollyの会話が礼儀正しい古めかしい言葉で、
Tollyがちょと遠く感じてしまったということなのかもしれません。

評論社の亀井さんの翻訳は、ずっと身近に感じました。
読んだら、ぜひ感想を教えてくださいね!

(このAudioBookとか、本みたいに借り貸しができたらいいのにね!
sunsetさんも好きなのではないかな、と思いました。)



> Dillさん、こんにちは。
> 読んでいらっしゃるLucy Bostonの本は、やはりグリーン・ノウでしたか。
> 「Green Knowe」って書くんですね。
> 題名は知っているのですが、子どもの頃に読んだ覚えがないので、私はまず和訳本から読んでみることとします。なるべく新しい翻訳のものを選んで読んでみますね。
> それにしてもBoston夫人の家のなんと素敵なこと。何代にもわたって手入れしながら住み継いでいくイギリスの家って、住むには不便なこともたくさんあるのでしょうが、あたたかで素敵ですね。
> あっという間に街並みが変わってしまう日本とは好対照です。

クリスマスキャロル、素敵♪

こんにちは、Dill さん。  ちょっと KiKi が山小舎でバタバタしているうちに Dill さんのグリーン・ノウ・エントリー、着々と進行されていたんですね!!  とても楽しく拝読させていただきました。

この本を読んでいるとき、物語に出てきたクリスマス・キャロルを KiKi は聴いたことがなくて「どんな曲なんだろう??」と興味をもったものの、特に調査もせず(最近ではネットがあるから簡単なのにね ^^;)、結果何気にスルーしちゃっていたんですけど、こちらで素敵な動画を拝見することができて、ものすご~く嬉しい!!!

アトリーの「時の旅人」、ピアスの「トムは真夜中の庭で」はどちらも岩波少年文庫に入っていて、KiKi の大好きな作品です。  「トム」の方はすでにエントリーを書いているけど、「時」の方はこれから先(恐らく年内に!)、再読してエントリーを書く予定です。

Dill さんは結果的に Audio Book での読書(?)に切り替えられたんですね。  KiKiも一度は試してみようと思いつつ、何となく後回しになっちゃっています。  でも、そっか。  本だと「ながら」っていうのが難しいけれど、Audio Book だと「ながら」がしやすいんですね。  なるほど、なるほど。  参考にさせていただきますね(笑)  

翻訳を読みました

亀井さんの翻訳で読みました。
亀井さんの翻訳はとても自然で、物語の世界にぐっと入り込んで読みことができました。
トーリーとオールドノウ夫人の交流が素敵に暖かで、ほのぼのとした気持ちになりました。
グリーン・ノウの庭など風景描写もたくさんあり、英語で読んだらどんな感じなのでしょうか。リズムよく書かれているのかなと想像しています。
古き良き時代の秀作だと思いました。

Re: クリスマスキャロル、素敵♪

kikiさん、すごく遅い返事でごめんなさい!

物語って、歌が入っていることって多くて、
私も今まではほとんどスルーだったのですが、
AudioBookを聴くようになって、音の効果ってすごいなぁ、と
びっくりしました。

クリスマスキャロルは、すごくいっぱいあって、
ここに選ばれた曲って、書いている人の人柄がでてますよね。
アトリーもピアスも、そのうちkikiさんの感想を読めるんですね、
すごい楽しみ!

この2作の舞台の家も、まだ残っているのですよ~。
ただ、アトリーの家は、ご近所に住まわれてる方の情報によると、
今は売りに出ているそうです。
大事に使ってくれる人に売れるといいなぁ、なんて、
よその国のことなのに、気になってしまいます。

Re: 翻訳を読みました

sunsetさん、こんにちは。

亀井さんの翻訳はなかなかいいですよね!
そうそう、古き良きという雰囲気がありますよね!

日本は試験シーズンがほぼ終わり、
一年の終わりが近づいていますね。
学校と並走しながら英語をおしえていらっしゃるsunsetさんにとっても、
ひとつの区切りの季節なのでしょうね!


ところで、私もまたAudibleに復活しました。
まずは、クレジットより安いグリーンノーを会員価格で買ったのですが、
今月は、Watership Downのうさぎの完全版を聞いています。
かなり素敵で、うれしがってます(笑)

Green Knowe

Dillさん こんにちは。
お元気ですか?Green Knoweを読む会 を始めました。と言っても来月からですけど。5回ぐらいを目安に集まって、感想など話す・・という緩やかな読書会です。Dillさんも読まれている事を知り、うれしく思って、書き込みさせていただきました。
Audioも気になったのですが、日本からは購入できないんですって!残念。 お元気で~!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corianderuk.blog80.fc2.com/tb.php/242-3f43690b

グリーン・ノウの子どもたち L.M.ボストン

今日はお正月の3日。  日本人という民族は不思議なもので、12月はいきなり「似非...

名前:
メール:
件名:
本文:

Dill

Author:Dill
イギリスのロンドン郊外に住んでいます。 
本は大好き。読む本がなくなると落ち着きません。
とうとうまわりに日本語の新しい本がなくなってしまったので、英語の本を楽しみたいと思っています。

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。